平林良人「ISO 9001 有効活用のためのビジネス改善ツール」(2005年)アーカイブ 第27回

TQM

活用方法

要素 コメント
ISO 9001との関連 MR RM PR M&A Imp
活用範囲 あらゆるタイプの組織
製造とサービスの両方
部門又は組織
システムにおける変化の度合い
人々に関する変化の度合い
利益レベル 実施の成功度に応じて大~中
参加レベル 完全に推進母体として
成熟レベル 初心者
時間尺度 12ヶ月以上
投資レベル 高い
実施方法 プログラム

背景

TQMは改善、すなわち日本の継続的改善の哲学に基づいています。1960年代後半、西洋の組織は長い間低品質で安価な物を生産することで知られていた世界の一部(日本)からの競合に直面し、世界の日本式への関心が増加しました。安いだけではなく、高い品質とスペックをもった商品を作り出す、新しい競合相手が突然に存在することになりました。革命は、Deming博士及びJuran博士の2人のアメリカ人によって導かれましたが、彼らはそのアイディアの創案に対して報酬を受けとったわけではありませんでした。

TQMには、多くの継続的改善実行へのアプローチがあり、各々は個々に特徴をもっています。Demingが提唱したものは、リーダーシップ及びばらつきの縮小に関係するアプローチです。Juranのアプローチは、同じようにばらつきの縮小に関係するものですが、品質計画及び改善プロジェクトの活用に重点をおいたものです。Crosby(1979)は、「要求事項への適合」、「防止」、「ゼロ損失」と「不良品価格」等の用語をキャッチフレーズにしました。

John Oaklandは、ここで記述されたアプローチの一つに貢献しています。TQMは多くのイギリスの組織と貿易産業省に採用されてきました。

原則

TQMは、単に製品及びサービスの品質を保証するよりも、はるかに広い適用をもつものです。TQMは、人々と事業プロセスを内外部すべての段階で、完全なる顧客満足を保証するために経営管理する方法です。TQMは、有効なリーダーシップがあって初めて、物事を正しく行うという結果を組織にもたらします。

プロセス(Process)は、人々(People)を通じて、計画(Planning:政策と戦略を推進するリーダーシップ、パートナーシップと資源)を実現する要素を、パフォーマンス(Performance:人々、社会、顧客、主要な結果によって評価される)に繋ぎ合わせる鍵となるものです。これらの「4P」は、TQMモデルの基礎を形成しているもので、21世紀で成功しようとする組織にとっては「明確なマネジメント必需品」となるものです。

私たちは、3C(文化:Culture、コミュニケーション:Communication、コミットメント:Commitment)の重要性を過小評価してはなりません。TQMという単純なモデルは、このままでは「成果不明」な3Cを、4Pという組織を成功裏に前進させることを目的にした枠組みに統合して、初めて完成したといえます。

アプローチ

TQM実行の業務は、手ごわいはずです。Oaklandは、リーダーが考慮すべき、下記のような幾つかのポイントをあげています。これらは、多くの品質指導者が実践に際して、その方法に適用してきたいろいろな信条の精髄です。

  1. 組織は継続的改善への長期的な決意を持つ必要がある。
  2. 文化を「最初正しく」に変えるために、ゼロ損失の哲学を採用する。
  3. 人々が顧客-供給者関係を理解するように訓練する。
  4. 価格だけでは製品又はサービスを購入しない-全体コストをみる。
  5. システム改善は、管理されなくてはならないことを認識する。
  6. 監督、訓練には近代的な方法を採用する-恐れられないようにする。
  7. プロセスを管理することによって、部門間の壁をはずす-コミュニケーションとチームワークを改善する。
  8. 方法のない目標、数字だけの規格、技量への誇りを邪魔するもの、作り事を排除する-事実を工程から把握する。
  9. 絶えず教育、再訓練をする-組織の専門家を育成する。
  10. TQMの実施を管理するために系統的なアプローチを展開する。

Oaklandは、TQMを採用するに当たって、克服すべき組織上の障害についてアドバイスをし、「あなたの組織にはこれらの行動が幾つありますか?」と質問しています。これらの「悪い行動」は次の通りです。

  • 明確な指示を与えないリーダー。
  • 競争していることを理解しないか、無視をする。
  • 自部門のことだけを考えている各部署。
  • システムを介して人々をコントロールしようとする。
  • 品質とグレードを混乱する。
  • 欠陥又はエラーのレベルを避けられないものと思う。
  • 火事への対応、対症療法。
  • 「それは私の問題ではない」