Ⅶ.実施手段
  • 1.新アジェンダの規模と野心は、その実施を確保するために活性化された「グローバル・パートナーシップ」を必要とする。我々は、全面的にこれにコミットする。このパートナーシップは、世界的連帯、特に、貧しい人々や脆弱な状況下にある人々に対する連帯の精神の下で機能する。それは、政府や民間セクター、市民社会、国連機関、その他の主体及び動員可能なあらゆる資源を動員して全ての目標とターゲットの実施のために地球規模レベルでの集中的な取組を促進する。
  • 2.(実施手段、アディスアベバ行動目標との関係)目標17とそれぞれのSDG下における実施手段は、我々のアジェンダを実現する鍵であり、その他の目標とターゲットの重要さに匹敵する。
    • ・SDGsを含むアジェンダは、持続可能な開発のための活性化されたグローバル・パートナーシップの枠組みの下で実現される。
    • ・2015年7月13~16日、アディスアベバで開催された第3回開発資金国際会議成果文書に記載されている具体的な政策と行動によって支えられる。
  • 3.(国家、民間セクターの役割)それぞれの国が自国の経済・社会発展のための第一義的な責任を有するということを認識する。新アジェンダは、その目標とターゲットの実施に必要とされる手段も含んでいる。これらの実施手段は財政的なリソースの動員をはじめとして、相互に同意された譲許的優遇的な条件で開発途上国に対し行われる環境に優しい技術の移転、能力構築を含むものであることを認める。国内及び国際社会による公的資金は、不可欠なサービスと公共財の供給及び他の資金源を呼び込む上できわめて重要な役割を果たす。
  • 4.(各種行動計画、アフリカ関連イニシアティブ、紛争)紛争下や紛争後の国々が永続的な平和と持続可能な開発を達成するための大きな課題を有していることを認識する。
    • ・「イスタンブール宣言及び行動計画」
    • ・「サモア・パスウェー(SAMOApathway)」
    • ・「ウィーン行動計画」
    • ・「2063アジェンダ」
    • ・「アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)」

    等のプログラムの実施を支持する。

  • 5. (ODAの役割、コミットメントの再確認)ODAを含む国際的な公的資金の重要な活用は、公的及び民間の他の資源からの追加的な資源を動員する触媒となるものである。ODA供与国は、開発途上国に対するODAをGNI比0.7%に、後発開発途上国に対するODAをGNI比0.15~0.2%にするという目標を達成するとの多くの先進国によるコミットメントを含め、それぞれのコミットメントを改めて確認する。
  • 6.(国際金融機関の役割)国際金融機関が、特に開発途上国に対し、それぞれのマンデート及び各々の国の政策スペースに従って支援を行う重要性を認める。
  • 7.(国会議員、政府、公的機関の役割)新アジェンダのために国会議員が果たす不可欠な役割についても認識している。
  • 8.(国連開発システム)SDGsと持続可能な開発の達成を支援するために、十分に資源に恵まれ、適切に、首尾一貫した、有効で効果的な国連システムが有する重要な役割を強調する。
Ⅷ.フォローアップとレビュー
  • 1. 次の15年に向けた目標とターゲットを実行する進歩に関し、国連総会及び経済社会理事会の下で開催される「ハイレベル政治フォーラム」が、世界レベルのフォローアップとレビューを監督する主要な役割を持つ。
  • 2.(本件アジェンダを達成するために)高品質で、アクセス可能、時宜を得た細分化されたデータが必要である。進捗を測定するために、GDP指標を補完する、より包括的なデータは、政策決定の鍵となる。現存する報告メカニズムからのデータと情報は、可能な限り活用されるべきである。
Ⅸ.我々の世界を変える行動の呼びかけ
  • 1.(国連とそれを支える価値観)70年前、以前の世代の指導者たちが集まり、国際連合を作った。彼らは、戦争の灰と分裂から、国連とそれを支える価値、すなわち平和、対話と国際協力を作り上げた。これらの価値の最高の具体化が国連憲章である。
  • 2.(新アジェンダの歴史的意義)我々は、貧困を終わらせることに成功する最初の世代になり得る。同様に、地球を救う機会を持つ最後の世代にもなるかも知れない。我々がこの目的に成功するのであれば2030年の世界はよりよい場所になるであろう。
  • 3.(新アジェンダの歴史的意義)今日我々が宣言するものは、向こう15年間の地球規模の行動のアジェンダであるが、これは21世紀における人間と地球の憲章である。子供たち、若人たちは、変化のための重要な主体であり、彼らはこの目標に、行動のための無限の能力を、また、よりよい世界の創設にむける土台を見いだすであろう。
  • 4.(人々を中心に据えたアジェンダ)「われら人民は」というのは国連憲章の冒頭の言葉である。今日2030年への道を歩き出すのはこの「われら人民」である。我々の旅路は、政府、国会、国連システム、国際機関、地方政府、先住民、市民社会、ビジネス・民間セクター、科学者・学会、そしてすべての人々を取り込んでいくものである。数百万の人々がすでにこのアジェンダに関与し、我が物としている。これは、人々の、人々による、人々のためのアジェンダであり、そのことこそが、このアジェンダを成功に導くと信じる。
  • 5.(結語)人類と地球の未来は我々の手の中にある。そしてまた、それは未来の世代にたいまつを受け渡す今日の若い世代の手の中にもある。持続可能な開発への道を我々は記した。その道のりが成功し、その収穫が後戻りしないことを確かなものにすることは、我々すべてのためになるのである。

次回に続けます。