さあ、今回も始めましょう。
 前回はISOとは国際的な標準化を推し進める団体です、というご紹介をしました。はい、横文字であり略称であることは何となくお感じ頂ける方が多いのではないでしょうか。その正式名称は International Organization for Standardization と言います。直訳すれば、標準化のための国際団体ということです。本部がスイスのジュネーブにある団体で、1947年設立の民間団体です。
「エッ、民間団体なの?」
という声があちこちで上がっていそうですね。そうなんです。ISOはあくまで民間人が動かしている民間団体なのです。それにもかかわらず、日本国内だけでなく、全世界で広まっているのです。

 日本の場合で言えば、政府の関与は全くのゼロ、というわけでは実はありません。経済産業省が陰ひなたなく支援をしてくれていることは間違いありません。日本の場合は、ISO規格は技術的同等性を確保したうえで、JIS規格(日本工業規格)になっていることもその背景にあると言ってよいでしょう。
 では、ISO規格はすべてスイスで議論して決めているかと言うとそうではありません。ISO規格は関連する各国から国を代表する専門家が集まって会議を行い、その結果をスイスのISO本部の方で整理して発行しています。よって発行は確かにスイスで行われている、と言えるのですが、その内容はISO本部で決めるのではなく、国際会議で決められる、というのが実態に即した言い方になるのです。

 よって、日本からも大勢の方が分野別にそれぞれの国際会議に出席して丁々発止の議論をしています。これらの方を日本代表エキスパートと呼ぶわけです。かっこいいですね(笑)。