前回は、PDCAサイクルの意味と、大事なことはそのつながりとスピードであることのご説明をしました。
 今回はそれに加えてもう一つの大事な視点をお伝えします。その前に前回の説明時に引用したISO9001/14001規格から引用したPDCAサイクルの図を今一度思い出してください。紙面上で表現するという制約があるため、なかなか 表現は難しいのですが、今回お伝えする視点に関しては、実はISO14001の旧版(2004年版)の方が私は優れた図だと思っています。

 以下の図をご覧ください。


 現在の規格の図との違いをお分かりいただけますでしょうか。
 なかなか2次元で表現するのは難しいのですが、ISO14001の2004年版の表現であれば、PDCAサイクルの中で継続的改善ということが組み込まれていることを感じ取っていただけるのではないでしょうか。

 そうなのです。PDCAサイクルを意識する際に、今の規格の表現は、上から(上方から)から見た際にはその図の通りで問題ないのですが、その図を横から見たときには、同じ場所でぐるぐる回っているのではなく、らせん状にスパイラルアップしていく状況であって欲しいのです。横から見てスパイラルアップしていたとしてもその状態を上から見れば同じところでぐるぐる回っているという状態で問題ありませんよね。なかなか私の筆致力では皆様にお伝えしきれないのですが、皆様の想像力に期待してご理解いただけることを祈念するばかりです。

 ただし、現実の世界では、そう簡単にスパイラルアップできるものではなく、そこには相当に困難が付きまとう可能性もあります。学生時代、勉強やスポーツや習い事などに多くの方が努力を傾けたと思います。そのときのことを思い起こして欲しいのですが、常に努力のしたエネルギー投入量がそのまま結果に反映されましたか。多くの方が「ノー」という言葉をおっしゃると思っています。そうなのです。努力の結果はほとんどの場合、すぐに具現化することはなく、このまま続けても徒労に終わるだけかな、と思った矢先に、いきなりぐんと成長した、というように結果が出る、ということが往々にして起きるものなのです。似たようなご経験をされた方もきっと多いのではないでしょうか。

 従って、PDCAサイクルを回していく際にも、結果が常に出ていなくてはダメだ、と思う必要は一切ありません。結果は階段状(段々畑のようにという理解でもOKです)であって全く問題ありません。成長の間には必ず踊り場があるものです。ただし、意識だけは常に向上を目指す、そのことだけは忘れずにいてください。その意識と努力の継続がなければ階段状であっても結果(パフォーマンス)の向上も有り得ません。この関係性の理解は是非お間違いのないようによろしくお願いします。