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ISOマネジメントシステムは、1987年にISO 9001の規格が誕生することによってそのあと認証制度が生まれ現在に至っています。
ISO 9001のあとにISO 14001の市場が生まれ、現在ではそこから数多くの規格に対する認証市場が成立しています。
主要な認証市場として、ISO 9001(品質)、ISO 14001(環境)を始めとして、情報セキュリティのISO/IEC 27001、食品安全のISO 22000、労働安全衛生のISO 45001(OHSAS 18000からの移行が今後進みます)が挙げられます。これらほどの広がりには至っていませんが、医療機器のISO 13485、事業継続のISO 22301、エネルギーマネジメントのISO 50001などの市場があると共に、ISOのマネジメントシステム規格ではなく、業界団体により作られ、その上で国際的な認証市場が広がっているものとして、自動車のIATF 16949、航空宇宙のAS 9100(両規格ともISO 9001をベースにしています)も挙がられます。
さて、今回はそれらの規格の市場と言っている認証取得組織がどのくらいあるのか、ということをお示ししたいと思います。
但し、認証取得組織数については正確な数値を意識する、ということではなく、概数の把握を優先的に考えてください。
なぜかというと、ISOはあくまで民間組織が自主的に対応するものであることから、その数字を掌握する中心的機関の存在がないともいえるからです。
日本国内についてであれば、公益財団法人日本適合性認定協会(通称:JAB)が中心的役割を果たしています。これからお見せする数字もJABによる統計数字になります。このJABは以前ご説明したように、審査を行う審査会社(認証機関)の活動内容が国際基準に則っているかどうかを審査し、合否判定する機能を担う認定機関です。日本で活動を行う認証機関のほとんどはこのJABから認定を取得して、日本におけるISO認証活動を行っています。
しかしながら、それ以外にJABと同じ機能を持つ海外の認定機関が多数あります。その海外認定機関から認定を取得してISOの審査活動をしている認証機関、いわゆる外資系の認証機関はたくさんあるのです。その外資系認証機関で日本における活動を行っている機関についての全貌を把握するのは少々骨が折れることになります。
肝心の数字を記さないといけませんね。JABが公表している情報からの転載です。
規格 | 認証組織数 |
ISO 9001(品質) | 44,284 |
ISO 14001(環境) | 22,956 |
ISO/IEC 27001(情報セキュリティ) | 6,233 |
OHSAS 18001(ISO 45001)(労働安全衛生) | 1,750 |
ISO 22000(食品安全) | 1,230 |
AS 9100(航空宇宙) | 698 |
ISO 13485(医療機器) | 1033 |
出典:公益財団法人日本適合性認定協会
マネジメントシステム認証組織件数(2017年度末)
前回、日本における認証取得数のお話をしました。今回は日本ではなく世界の数字についてお話したいと思います。
世界の統計データは、規格発行の大元であるISOが年に1回、毎年秋の時期ですが、全世界での認証取得数に関するデータを収集して公表しています。
ISO SurveyとしてISOのホームページでデータが公開されます。本稿執筆時点は、2017年のデータが最新になります。詳細データをご覧になりたい方は是非下記のURL
https://www.iso.org/the-iso-survey.html
をご参照ください。
さて、このISOサーベイの中で特徴的な数字を以下に記しておきたいと思います。
国内同様、ISO 9001の認証取得数が他を圧倒しています。それだけ品質マネジメントシステムに関するニーズが高いと言うことになります。そしてそのISO 9001に関する国別の認証取得数を見ていくと、これも今の世界の情勢ともつながるものを感じられることと思います。まずは数字をお見せしましょう。
規格 | 認証組織数 |
ISO 9001 | 1,058,504 |
ISO 14001 | 362,610 |
ISO/IEC 27001(情報セキュリティ) | 39,501 |
OHSAS 18001(ISO 45001)(労働安全衛生) | 32,722 |
ISO 13485(医療機器) | 31,520 |
ISO 50001(エネルギー) | 22,870 |
(2018年秋公開 2017年末現在の数字)
如何でしょうか。
全世界で100万を超える組織がISO 9001の認証を取得しているわけです。QMSに関するモデルは世の中に多数あるわけですが、その中ではISO 9001が圧倒的に活用されている、ということになるわけです。
そして国別で見ると、またビックリすることになります。
ISO 9001規格 | 認証組織数 |
中国 | 393,008 |
イタリア | 97,646 |
ドイツ | 64,658 |
日本 | 45,030 |
イギリス | 37,478 |
インド | 36,053 |
スペイン | 31,984 |
アメリカ | 25,087 |
中国の存在感が他を圧倒していると言うことがよくお分かりになると思います。
そしてイタリアの動きは、上記だけでは読み取れませんが、毎年の動きがかなりダイナミックです。詳細な背景は筆者もつかめていないのですが、この先の動向は注視しておく必要がありそうです。なぜなら上記データは2017年末現在のものだからです。それがどのようなことを意味するかと言えば、そのタイミングはISO 9001及びISO 14001の2015年版の移行がまだ移行完了期限を迎えていないからなのです。2018年9月が移行期限であったことから、2019年秋にISOから公表されるISO Surveyのデータが今後の世界的な動向を把握する上での起点になるであろうと思います。
他の規格等についてもテクノファで整理しまとめたものを当サイト内でアップしております。よろしければ以下のページもご覧ください。
https://www.technofer.co.jp/iso/iso-survey/
いずれにしても、国内の動向だけでなく、海外各国でISOがどのように受け止められ活用されているか。特にグローバル取引をされている組織に所属されている方は、数字の暗記は全く不要ですが、大きな流れだけはつかむようにしてください。
ISOは欧米が発祥であるわけですが、現状ではイギリスの認証数も減ってきていますし、アメリカではあまりISOは活用されていません。そしてこの資料だけでは読み取れませんが、食品安全の世界では、ISO 22000の認証数よりも他の規格の方が着目されています。日本でもISO 22000の1.5倍くらいの認証数がFSSC 22000という規格で登録されています。
関連業界の方はそれらの規格にも着目するようにしましょう。