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品質マネジメントシステムISO 9001は製造部門の現場の人々、そして品証担当が、環境マネジメントシステムISO 14001は環境法規制に抵触するような物質を取り扱う現場部門の人々、情報セキュリティマネジメントシステムISO/IEC 27001はIT部門のスタッフの人々が、そして労働安全衛生マネジメントシステムISO 45001は向上の安全担当者・指導者が取り組むべきものである、と思っておられる方がISO認証とは無縁の組織の方々の中にはいらっしゃるのではないでしょうか。
もちろんそれらの方々が取り組まなくて良い、というものではなく、それらの方々が中心的役割を果たさないことにはそれぞれのマネジメントシステムが有効に機能しないことは間違いないのですが、現場の方々だけが認識し、取り組めばよい、というとらえ方は完全に間違っています。
確かに昔のISO 9001はそうでした。特に製造業の現場における品質管理、品質保証を意識した規格を言っても間違いではないくらい、限定された適用を想定したのですが、ISO 9001に限らず、ISO 14001等の他の規格もマネジメントシステム規格という概念が浸透していく過程において、組織経営というものを想定し、トップマネジメントの役割の重要性がどんどん強調されるようになりました。
そして2012年にISOマネジメントシステムの共通テキスト文書といわれるものが発行されたことによる、すべてのマネジメントシステム規格の骨組みは共通化され、経営者に求められる要求事項もベースはすべて同じとなりました。
組織経営全体を考えて、組織自身の目的をきちんと整理のうえ、方針展開を図り、その上で目標設定をし、PDCAを回してください、という骨組みです。そしてこれは、現場任せでできるものではなく、完全に経営の考え方そのものなのです。もちろん長年の実績があったり、グローバル展開を図っている大企業であれば、ISOで言っていることなどは当たり前のことでしょう。ですが、経営管理ということをあまり普段考えている余裕がない、スタッフもいないというような中小企業ではISO、特にISO共通テキスト文書で書かれている内容は経営管理の基本を勉強する、あるいは再確認をする上ではとても有用な内容になっています。
つまり、経営のことを勉強したければ、ISOマネジメントシステムを紐解けば十分な学びが得られるのです。そして何もそれは経営者がすればよいというものではありません。管理職の方であれば必須の勉強項目といっても過言ではありません。ISO 9001やISO 14001やISO/IEC 27001などのうちのこの規格でなければいけない、という限定もありません。自分自身の業務内容に近しいと思える規格を見出し、ぜひともその規格に触れてみてください。経営者の言っていることがもう少し身近に感じられるようになることでしょう。そしてもしわからないことが出てきたら、経営者に質問しましょう。経営者からすれば、そのような質問を積極的にしてくれる社員は大事な存在と感じると共に、もしその質問がその経営者にとっても即答できないようなところに踏み込んだものであったなら、それはその経営者にとっても学びを得た、ということになります。
多くの人々に学びの機会をISOマネジメントシステム規格は提供しているのです。