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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.258 ■□■
*** 内部診断と内部監査4 ***
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新型コロナウイルスはまだ今後の動きが見えず不安ですが、
まだ早いという方がいるかもしれませんが、終息後の世界における
変化を注視していく必要があります。
そうした変化に備える意味でもこの機会に自組織の内部診断(内部監査)を
行ったらどうでしょうか。
前回は中期経営計画についてお話しをしましたが、今回は
中期経営計画に基づいて作成される経営方針の管理(方針管理)について
お話しします。
■□■ 経営分野-方針管理 ■□■
組織では毎年事業計画を作成し、社長が役員/部長に、部長は
配下の課長に事業計画の展開をします。
そして、四半期ごとに事業計画の達成度合いを把握するため、
展開した逆のルートで実施状況を報告してもらいます。
社長の事業計画は方針に基づいて作成されますが、方針は中期経営計画から
来ています。前回お話しした中期経営計画には、新製品・新技術開発、
顧客・販路の開拓・深耕、サプライチェーンのグローバル化、ITシステム
の構築、人材育成など、組織のこうなりたいと思う姿が書かれています。
したがって、これらの課題は結果が出るまでに数年かかるものばかりです。
■□■ 部門方針の決定 ■□■
内部診断で確認したいことの1つは次のことです。
中期経営計画と今期の会社方針、部門方針とがどのような関係にあるのか
ということです。
中期経営計画は、経営環境、前期の期末レビューに基づき、向こう3年
(或いは5年)の組織のあるべき姿を描きますが、社長はその達成のために
当該の期において組織が達成しなければならない重点課題、目標及び方策などを
会社方針として定めます。
部門長は、社長の決めた会社方針を達成するために、自部門が実行しなければ
ならない当該の期の目指す姿を明確に示した部門方針を作ります。
この部門方針には、部門の重点取り組み課題、目標、及び目標を達成するための
方策などが明確にされます。
■□■ 重点課題の決定 ■□■
部門方針を達成するための重要課題は、部門が置かれている内外の状況を
分類・整理して取り組むべき候補を抽出し、その中から重点課題を
決定します。
重点課題は、具体的な表現として「AA (対象)をBB (活動)する」と
表現すると良いと思います。
重点課題の候補は、次の観点から検討し、抽出します。
-会社方針:提示されている組織の重点課題、目標及び方策を確認し、
それと部門の役割を照らし合わせる。
-部門を取り巻く経営環境:部門の能力・特徴の分析や競合組織の
能力・特徴との比較分析を行い、部門の強み・弱みを明らかにする。
-下位からの提案:下位から提案のあった項目を整理する。
-関連部門からの依頼事項:閔連部門から依頼された事項を整理する。
■□■ 目標の決定 ■□■
部門の目標は、決定した重点課題ごとに設定します。
目標設定においては、次の観点が必要です。
-達成すべき状態と達成期日の明確化
-過去数年問の実績推移、競合他組織のレベル
-製品、サービスの種類別
-上位方針の目標値との整合性
■□■ 方策の立案 ■□■
目標を達成するためには具体的に方策を決めることが必要です。
方策の決定は、部門重点課題ごとに、次のような観点で行うと良いでしょう。
-要因の明確化:目標の達成に影響を与える要因の見極め
・現場で現物を見ながら現実的に(三現主義)
・人、設備、方法、材料、サービスの側面から検討
・目標達成する方策(手段)についてブレーンストーミング
・「なぜなぜ」の繰り返し
-方策の確定:望ましい状態(目標達成)にする手段の検討、列挙と絞り込み
-考え出した各方策の実施に当たって生じると思われる障害
-投入が必要な人、設備、予算などの費用対効果の評価
-部門長のりーダーシップ
-関係部門との連携
-下位の管理者、担当者、パートナーからの提案
-部門の人々全員の学習及び改善への参画の内部環境
■□■ すり合わせ ■□■
部門長は、部門方針の策定に当たって、社長(上位管理者)、下位
管理者、関係部門長とすり合わせを十分に行うことが求められます。
すり合わせは、次の観点から行います。
-上位方針の意図を理解する。
-自部門の方針の根拠を明確にする。
-自部門の方針への社長から示された要望・期待については、
対応に必要な経営資源を要望する。
-関連する他部門、パートナーの方針について理解する。
-下位管理者、担当者から方針に対する意見を聞く。
-部門だけでは解決できない課題に対して全社横断チームを結成する(要望する)。
-方策を実施する上での障害(例えば、資源不足)を除去する。
■□■ 実施状況のレビュー ■□■
部門長は、重点課題の実施状況を定められた頻度で確認し、最終目標を
達成できるように努力します。
実施状況の確認に当たって次の観点が推奨されます。
-状況を把握するための管理項目と管理水準の決定
・推移グラフなどを活用
・実績と目標値の比較
-現場、現物、現実の確認による方針の浸透度合確認
-達成が出来そうもない場合の指示
・原因の究明
・その時点までの遅れの挽回
・必要な資源の投入
・担当者に対する必要な教育・訓練
-新たな方策、実施計画の変更