PCR検査 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.264 ■□■    
   ***PCR検査 ***
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これまでお話してきた内部診断から少しわき道に入りたいと思います。
今回は「PCR検査」についてお話をします。
今年3月頃から盛んに新型コロナウイルスのマスコミ報道で、「PCR検査」
が話題になっています。今回のコロナ騒動の中で、品質管理を学んできた
人の多くは、検査と聞いては関心を持ったのではないでしょうか。

■□■ PCR検査の実施数 ■□■
諸外国に比べて、日本ではどうしてPCR検査の実施数が上がらないのか、
政府は一日2万件の検査を行うと言うが遅々として進まない、何が原因
なのか、官僚の保守的体質なのか、縦割り行政のためなのかとTV、
新聞紙上などで連日話題になっています。
しかし、毎日繰り返されるこれらの「PCR検査」の議論について、私は
少し違う観点からコメンテイターの話を聞いていました。「検査」という
言葉を聞いて、TQM(Total Quality Management:総合的品質管理)に
おける重要な活動(プロセス)を連想して聞いていました。TQMでは製品
品質の保証の要素として、検査については1960年代からいろいろな方法が
各種講座、講義で教えられてきました。

■□■ 製造業における検査 ■□■
TQMでは、主に製造業における検査を扱ってきましたが、思いついただけ
でも次のような多くの種類があります。

 ・ 抜取検査
 ・ 全数検査
 ・ 工程内検査
 ・ 巡回検査
 ・ 官能検査
 ・ 受入検査
 ・ 最終検査
 ・ 出荷検査
 ・ 持込検査
 ・ 出張検査
 ・ 非破壊検査
 ・ 破壊検査

ここでこれらの検査の内容についてお話しするつもりはありませんが、
検査については、それぞれの目的別に多くの種類があることを改めて認識
したいと思います。
今回の新型コロナウイルス感染防止においても、PCR検査の他、抗体検査、
抗原検査などいろいろな種類の検査の話が出てきています。

■□■ 品質は工程で作りこむ ■□■
TQMには「品質は工程で作り込め」という有名な教訓があります。この教訓
に続いて、TQMでは「検査は愚の骨頂である、コストはかかるし100%の
信頼性を保証できない」として、検査はできるだけ少なくすることが良いと
教えられました。
この教えは、工程即ちプロセスを事前に分析、評価、運用、監視することで、
プロセスからのアウトプットを100%良品とすることを最優先にするという
意味を強調しています。そして、このことを「プロセス保証」と呼んでいまし
た。プロセス保証は日本品質管理学会規格(JSQC規格)にまとめられています。
この指針はJISQ9027「プロセス保証の指針」として日本語のみならず、英文
にもなっています。

■□■ 検査の前にプロセス保証を ■□■
検査は必要ですが、検査をする前にプロセス保証を徹底すべきであるという
TQMの教えはコロナ感染防止においても応用できるものだと思います。
コロナ問題においては、検査よりはプロセス保証、すなわち「手洗い・うがい」、「
マスク装着」、「3密」などをもっと強調すべきです。検査はその後に言うべき話
ではないかと感じます。そして、プロセス保証と検査の関係の話を流布すべきです。