「購買プロセス」診断-内部診断12 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.268 ■□■    
*** 「購買プロセス」診断-内部診断12 ***
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新型コロナウイルス終息後の世界について、予測も含めてこれからの
変化を注視していく必要があります。そうした変化に備える意味でも
この機会に自組織の内部診断を行ったらどうでしょうか。前回は生産
技術プロセスについてお話しをしましたが、今回は購買プロセスに
ついてお話しします。

■□■ サプライチェーン ■□■
今回のコロナ騒ぎで世界中の企業が物流、サプライチェーンの見直しを
迫られています。今までも2者購買、原産地証明、代替購入など購買
プロセスに関してはいろいろな検討がされてきました。さらにBCP
(事業継続計画)においては、非常時におけるライフラインの確保、サプ
ライチェーン維持、急速な復旧など多くの事前計画作成と非常時訓練
などをしてきた組織も多かったことと思います。
しかし、程度は異なっても机上の空論であったことは今回の新型コロナ
ウイルス問題で図らずも明らかになりました。
今回の購買プロセスの診断においては、サプライチェーンの実践的な
見直しがなにより重要であると思います。

■□■ 一極集中のリスク ■□■
中国はいつの間にか世界の工場と呼ばれるようになりました。政治体
制の違いから、中国における生産については常にリスクが付きまとうと
言われながらも、人件費安さに惹かれて中国生産を継続してきた組織が
多かったと思います。
今回の騒ぎで中国生産の見直しは必至ですが、すぐさま中国から引き上
げるという対応はわずかであると思われ、問題の対応策は複雑にならざ
るを得ないようです。
対応の一つは日本に生産を戻すというものですが、競争力確保の見地から
その対応には限りがあります。二つ目は中国以外の国に生産を移す、或い
はサプライチェーンを再構築するというものです。
三つ目は設計部門あるいは生産技術部門と連携して従来設計を見直して
部品点数の少ない製品に変更するという対応です。
四つ目として、同業者とサプライチェーンの相互乗り入れをするという
対応も考えられます。

最後には企業買収(M&A)という手段もあり得ます。重要部品、材料な
どは自組織の管理下で調達する戦略につながるものです。

以上のような対応の仕方は当然のことながら組織ごと異なるものですが、
組織の購買プロセス診断においては参考にしたらどうでしょうか。

■□■ ISO9001:2018 ■□■
ISO9001:2015 では箇条8.4で購買プロセスに触れています。

*8.4 **外部から提供されるプロセス,製品及びサービスの管理*
*8.4.1 **一般*
組織は,外部から提供されるプロセス,製品及びサービスが,要求事項
に適合していることを確実にしなければならない。
組織は,次の事項に該当する場合には,外部から提供されるプロセス,
製品及びサービスに適用する管理を決定しなければならない。
*a*) 外部提供者からの製品及びサービスが,組織自身の製品及びサー
ビスに組み込むことを意図したものである場合
*b*) 製品及びサービスが,組織に代わって,外部提供者から直接顧客
に提供される場合
*c*) プロセス又はプロセスの一部が,組織の決定の結果として,外部
提供者から提供される場合
組織は,要求事項に従ってプロセス又は製品・サービスを提供する外部
提供者の能力に基づいて,外部提供者の評価,選択,パフォーマンスの
監視,及び再評価を行うための基準を決定し,適用しなければならない。
組織は,これらの活動及びその評価によって生じる必要な処置について,
文書化した情報を保持しなければならない。

* *

*8.4.2 **管理の方式及び程度*
組織は,外部から提供されるプロセス,製品及びサービスが,顧客に一貫
して適合した製品及びサービスを引き渡す組織の能力に悪影響を及ぼさな
いことを確実にしなければならない。
組織は,次の事項を行わなければならない。
*a*) 外部から提供されるプロセスを組織の品質マネジメントシステ
ムの管理下にとどめることを,確実にする。
*b*) 外部提供者に適用するための管理,及びそのアウトプットに適用
するための管理の両方を定める。
*c*) 次の事項を考慮に入れる。
*1*) 外部から提供されるプロセス,製品及びサービスが,顧客要求事
項及び適用される法令・規制要求事項を一貫して満たす組織の能力に与え
る潜在的な影響
*2*) 外部提供者によって適用される管理の有効性
*d*) 外部から提供されるプロセス,製品及びサービスが要求事項を満
たすことを確実にするために必要な検証又はその他の活動を明確にする。

*8.4.3 **外部提供者に対する情報*
組織は,外部提供者に伝達する前に,要求事項が妥当であることを確実に
しなければならない。
組織は,次の事項に関する要求事項を,外部提供者に伝達しなければならない。
*a*) 提供されるプロセス,製品及びサービス
*b*) 次の事項についての承認
*1*) 製品及びサービス
*2*) 方法,プロセス及び設備
*3*) 製品及びサービスのリリース
*c*) 人々の力量。これには必要な適格性を含む。
*d*) 組織と外部提供者との相互作用
*e*) 組織が適用する,外部提供者のパフォーマンスの管理及び監視
*f*) 組織又はその顧客が外部提供者先での実施を意図している検証又は妥当性確認活動