「製造・サービス提供プロセス」診断-内部診断13 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.269 ■□■    
*** 「製造・サービス提供プロセス」診断-内部診断13 ***
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新型コロナウイルス終息後の世界について、予測も含めてこれから
の変化を注視していく必要があります。そうした変化に備える意味でも
この機会に自組織の内部診断を行ったらどうでしょうか。前回は購買
プロセスについてお話しをしましたが、今回は製造プロセスについて
お話しします。

■□■ 製造・サービス提供プロセス ■□■
製造プロセス、及びサービス提供プロセスの役割は今さら申すまでも
ないでしょう。診断者は自社の分課分掌規程をよく理解してから診断
にあたることが求められます。
サービス業においてはサービス提供の分課分掌規程が無いかもしれま
せん。その場合でもサービス提供部門の役割は決まっているはずです。
ここで製造の対象となる製品(product)、とサービス提供の対象になる
サービス(service) の違いを説明したいと思います。
この違いの説明は、ISO9001:2015の附属書A(参考)「新たな構造,
用語及び概念の明確化」A.2に書かれています。

A.2 製品及びサービス
JIS Q 9001:2008 では,アウトプットの全ての分類を含めるために,
“製品”という用語を用いたが,この規格では,“製品及びサービス”を
用いている。“製品及びサービス”は,アウトプットの全ての分類
(ハードウェア,サービス,ソフトウェア及び素材製品)を含んでいる。
特に“サービス”を含めたのは,幾つかの要求事項の適用において,
製品とサービスとの間の違いを強調するためである。サービスの特性
とは,少なくともアウトプットの一部が,顧客とのインタフェースで
実現されることである。これは,例えば,要求事項への適合がサービス
の提供前に確認できるとは限らないことを意味している。
多くの場合,“製品”及び“サービス”は,一緒に用いられている。組織
が顧客に提供する,又は外部提供者から組織に供給される多くのアウト
プットは,製品とサービスの両方を含んでいる。例えば,有形若しくは
無形の製品が関連するサービスを伴っている場合,又はサービスが
関連する有形若しくは無形の製品を伴っている場合がある。

■□■ サービスの特性 ■□■
サービスの特性とは,少なくともアウトプットの一部が,顧客との
インタフェースで実現されることである。これは,例えば,要求事項へ
の適合がサービスの提供前に確認できるとは限らないことを意味して
いる。
多くの場合,“製品”及び“サービス”は,一緒に用いられている。組織
が顧客に提供する,又は外部提供者から組織に供給される多くのアウト
プットは,製品とサービスの両方を含んでいる。

ISO9001A.2から、特に説明をしたい箇所を抜き出したのが上の下線部
の文章です。製造プロセスとサービス提供を診断する際に、この下線の
部分は重要な視点を診断者に与えてくれます。
「アウトプットの一部が,顧客とのインタフェースで実現される。」

■□■ サービスの特質 ■□■
サービスは製品と異なって「在庫」を持つことはできません。事前に
「検査する」こともできません。これはサービスが顧客との間(インタ
フェース)で実現されることを考えると当然のことです。
もっと具体的に言えば、歌劇、ミュージカル、ピアノ演奏コンサート
などを想像すると極めて当たり前のことです。しかし、企業で製品を
主に扱っている組織は、付帯するサービスをつい忘れがちになります。
サービスは、事前に検査できませんので100%の品質保証を求めて
活動をしなければなりません。
製造及びサービス提供の診断の視点の一つはここにあります。