文書の整理整頓-内部診断と内部監査27 | 平林良人の『つなげるツボ』

—————————————————————
■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.286 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** 文書の整理整頓-内部診断と内部監査27 ***
—————————————————————
少し寄り道をしましたが、また連載の内部診断に戻りたいと思い
ます。前回は図書の整理についてお話ししました。我々は小学校の
ころから整理整頓を言われてきましたが、なかなか身につかないよ
うです。今回は一番身近であろう文書(記録を含む)について考え
てみたいと思います。

■□■ 文書の診断の1 ■□■
どこの組織でも組織の文書についての悩みは多くあるのではない
かと思います。
今回の診断のポイントの1は、文書の管理についてどんな課題があ
るかの明確化です(整理整頓を含む)。
一般に文書管理で考えられる課題は次のとおりです。
 ・文書作成と登録について
 ・文書検索について
 ・文書廃棄について
とくに、必要な時に必要な図書が見付けられないという悩みが多い
のではないかと思います。

■□■ 文書の診断の2 ■□■
診断のポイント2です。小企業ですと、文書を作成する基準が
決まっていないケースがあります。
しかし、中小企業、大企業では文書管理規定があるはずです。こ
の文書管理規定の内容が診断のポイント2になります。

今回のテーマは文書の整理整頓ですが、そもそも文書にまつわ
るライフサイクルはどのようになっているのでしょうか。一般的
に、文書のライフサイクルは次のようなものです。
 ・作成 → 活用 → 保管 → 廃棄

作成しなければ活用も保管も廃棄もする必要はありません。
したがって、ライフサイクルのスタートである「作成」がどのよ
うな基準になっているのかは重要な視点です。

私が考える診断2のチェックポイントは次のようなことです。
・組織として作成しなければならない文書(記録)は明確になって
 いるか。それは現状に合っているか。
・作成、発行、保管部署は明確になっているか。それは現状に合っ
 ているか。
・文書の保管方法(基準)は明確になっているか。
・文書(記録)の廃棄基準は明確になっているか。

外部文書(受け取った文書)も文書管理基準の対象になって
いるか確認します。
廃棄基準について、廃棄の前の保存期間が決められているか確
認します。特に保管が要求される記録の保管期間は重要です。
重要な文書(記録)が永久保管の対象になっているかの確認も
しましょう。

■□■ 文書の診断の3 ■□■
「文書管理規定」はあっても、多くの人がその規定の内容を知
らない状況が多くの企業の現実ではないかと思います。
文書管理のルールをおろそかにすれば、コンプライアンス違反
やリコール、経営責任などを問われ、株主や顧客・消費者を含
めて、社会的信用を失うことにつながります。

文書管理診断の3のチェックポイントは次のようなことです。
1.保管場所の状態
 乱雑に保管されているか綺麗に保管されているかを確認する。
2.重要度分類
 次の分類がされているか確認する。
 一般に文書は、重要度、機密度、セキュリティレベルに応じ
 て以下のような3つに分類することができます。
 ①極秘
  漏洩した場合に企業の安全や利益に損害を与える恐れのある
  情報。開発研究資料、契約書、法的文書など。
 ②秘
  社内であっても関係者以外に知らせてはならない性質をもつ
  情報。個人情報など。
 ③社外秘
  社外に公開することで不利益を被る可能性のある情報。顧客
  リスト、営業企画書など。

3.検索容易性
 担当者以外の人でも文書が探せるようにするには、文書を分類し
 ておくことが必要です、例えば、次のようなキーワードで分類します。

  キーワード キーワード例
時間要素 文書が作成された年月・期間など
2020年度、2020年度11月~
固有名詞 顧客名、製品名、地域名、プロジェクト名
テーマ名、部署名、グループ名、個人名など
内容/形態 テキスト、帳票、証明書、報告書
契約書、請求書、ケーススタディなど