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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.70■□■
*** 附属書SLキーワード「組織の能力」***
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■□■⑥不適合防止を志向し、かつ体系的な改善プログラムを運営する能力
⑦有効な内部監査及びマネジメントレビュープロセスを実施する能力
⑧品質マネジメントシステムの有効性を監視、測定、継続的に改善する能力
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IAFの提唱する「組織の能力」をここまで書いてみて、
一番重要な能力が抜けていることに気が付きました。
別にIAFに対抗するつもりはありませんが、それは「顧客価値」に関する能力です。
確かに、①顧客ニーズ並びに法令規制要求事項の分析及び理解する能力があり、
これが「顧客価値」に関するものであるといわれるかもしれません。
しかし、次の一文を読んでどう思われるでしょうか?
~~~~~~~(日経ビジネス編集長 山川 龍雄氏の文より抜粋)~~~~~~~
「今年、一番の買い物は、ゴルフ場で使用する腕時計型の距離測定器でした。
ショットする場所からピンやバンカーなどまでの距離を表示してくれるものです。
それまでは携帯電話のような形状の端末を使っていたのですが、
腕時計型になったことで、いちいちポケットから取り出す手間がなくなりました。
機能的に従来のものより優れているわけではありません。
この場合の私にとっての価値は、いかに、さりげなく距離を測定できるか、にありました。」
■□■ いかに、さりげなく ■□■
なるほどと私は思いました。
「いかに、さりげなく」距離を測ることができることが
山川さんのこの製品(腕時計型の距離測定器)価値だったわけです。
多分、製品を開発し発売した会社は
「携帯型」「ポケットへの出し入れ」「軽量」などの顧客ニーズを把握していたでしょうが、
「いかに、さりげなく」という価値を感じていたか疑問です。
と、私がかってに決めつけられないので、一度販売した会社に聞いてみたいものです。
いいたいことは、事業を推進していて供給側は必ずしも顧客の立場に立っての
「本当の顧客価値」を確認できていない、のではないかということです。
■□■ 続いて、山川さんの文章 ■□■
「少々、古いのかもしれませんが、会議や会食、取材などの最中に、
しょっちゅうスマートフォンを取り出して、メールなどをチェックする人が気になります。
話にあまり集中していないように見えますし、
相手に失礼ではないかと思うこともあります。
とはいえ、私自身、仕事柄、メールや電話の着信履歴、ニュースなどを
定期的に見なくてはなりません。
頻繁に中座するわけにもいきませんし、こんな時、もっと、さりげなく、
情報を確認できるものがないか、と考えます。」
そうなのです。
本当の顧客価値を把握できると、次の製品のアイディアが生まれるのです。
「もっと、さりげなく」情報をチェックするスマホはないのでしょうか?
これは、私の専門外ですのでこれ以上は分かりかねますが、
ISO9001に基づくQMSに関しては何がテクノファの「顧客価値」であるのか、
本当の所は分かっていないのではないかと反省しています。
■□■ 顧客価値を抽出する能力 ■□■
この顧客価値を抽出する能力とはどんなものでしょうか?
順序不同で思いのまま書き上げてみます。
1.自社の製品、サービスの特徴を知っている。
2.自社の製品、サービスがどのように使用されているか知っている。
3.競争相手の製品、サービスを知っている。
4.誰が使用者か知っている。
5.過去のクレームを知っている。
6.顧客アンケートを読んでいる。
7.顧客と面談した経験がある。
8.販売現場を経験している。
9.自社の製品、サービスの作り方を経験している。
10.自社の製品、サービスの素材について知識がある。
11.自社の製品、サービスに関係する法的知識がある。
12.自社の製品、サービスに関係するベンダーに関する知識がある。
など、でしょうか。
その中でも、4.誰が使用者か知っている、5.過去のクレームを知っている、
6.顧客アンケートを読んでいる、などは一番重要視したい能力です。
■□■ 超ISO企業研究会 ■□■
飯塚先生を座長とする「超ISO企業研究会」では、
ISO9001、JISQ9005などに準拠した「品質経営の推進」の研究をしております。
持続的に成功する品質経営とは、
①顧客価値の把握
②組織の特徴・能力、事業構造/メカニズムの分析
③変化への対応
④マネジメントシステムへの落とし込み、
の4モードについて、それぞれツールを開発しました。
ツールとは、書式を含んだテンプレートとその使用の仕方を意味していますが、
現在4社あまりにおいて実証研究をしております。
テクノファがその事務局を担当しておりますので、折を見て皆様方にも
研究内容のご案内をさせていただこうと思っております。
折を見てでは間に合わない、という組織の方、
ぜひ「品質経営」を実践してみたいという会社の方には
個別に研究会へのご参加をお問い合わせください。
(つづく)