附属書SLキーワード3「プロセス」 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.65  ■□■

*** 附属書SLキーワード3
「プロセス」***

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■□■ プロセスという用語はたくさん出てくる ■□■

 附属書SLにはプロセスという言葉が多く出てきます。

〇 4.4 XXXマネジメントシステム

 組織は,この規格の要求事項に従って,必要なプロセス及び
 それらの相互作用を含む,XXXマネジメントシステムを確立し,
 実施し,維持し,かつ継続的に改善しなければならない。

〇 5.1 リーダーシップ及びコミットメント

 - 組織の事業プロセスへのXXXマネジメントシステム要求事項の
 統合を確実にする。

〇 6.1 リスク及び機会への取組み

 組織は,次の事項を計画しなければならない。
 - それらの取組みのXXXマネジメントシステムプロセスへの
 統合及び実施

〇 7.5.1 一般

 組織のXXXマネジメントシステムは,次の事項を含まなければならない。
 - 組織の規模,並びに活動,プロセス,製品及びサービスの種類

〇 8.1 運用の計画及び管理

 組織は,次に示す事項の実施によって,要求事項を満たすため,及び,
 6.1で決定した取組みを実施するために必要なプロセスを計画し,
 実施し,かつ管理しなければならない。

 - プロセスに関する基準の設定
 - その基準に従った,プロセスの管理の実施
 - プロセスが計画通りに実施されたという確信をもつために
 必要な程度での,文書化された情報の保持

 組織は,外部委託したプロセスが管理されていることを確実に
 しなければならない。

■□■ プロセスとは何でしょう ■□■

 プロセスとは何でしょうか?

ISO9000用語の定義では「インプットをアウトプットに変換する、
相互に関連する又は相互に作用する一連の活動」としています。

 私はもっと一般的な概念でプロセスを捉えた方がいいと思っています。

私はプロセスとは「道のり」だと思っています。

目的地を東京とした場合、例えば、今いる大阪からどのように
行くのかという道筋のことです。

新幹線で行ってもよいし、東海道線で行っても、あるいは
途中から回り道をして中央本線を使って行ってもよいわけです。

その道筋は目的によって変わります。

早く行きたいときは新幹線を選択するでしょうし、途中の駅弁を
食べたければ在来線、すなわち東海道線で行くでしょう。

また、地方の鄙びた温泉でゆっくりしていきたいと思う時は、
中央本線で行くことがおすすめかもしれません。

 詩人 高村光太郎はその詩「道程」の冒頭で
「僕の前に道はない、僕の後ろに道はできる・・」とうたっていますが、

目的に向かってどのような道筋を通るかは主人公の思いを明確にして、
それに適切なものにすればよいわけです。

■□■ 業務におけるプロセス ■□■

 業務についても同じことが言えます。

Aという製品を完成させるのにどのような道筋を通るのがよいのか、
すなわち、どんな活動を行うのかがプロセスの概念であると思います。

 旅行では道筋でよいのですが、組織のQMSとなると道筋では
大括りすぎますので、一段とブレイクダウンして「活動」が
プロセスの概念であると考えることになります。

 プロセスの代表的対象が道筋から活動に変わっているだけで、
その意味するところは何ら変わっていません。

 つまり、最終の目標に向けてどのような活動をしていくのか、
その順序と相互関係、更にはインプット、アウトプット、責任者、
実施内容、管理を設計することがポイントです。

 この設計に当たっては、旅行と同じで最終目標を見据えて、
最後のアウトプット(直接の顧客に手渡されるもの)から吟味、
検討することが良いと思います。

■□■ プロセスの設計は後ろから ■□■

 後ろから設計するとどのように良いことがあるのでしょうか?

最初の業務から「何をすべきか」を考える組織が多いようですが、
この方法だと必要十分なことを考えることになります。

 旅行の例で言いますと、東海道新幹線、東海道線、中央本線など
いろいろな道筋を考えることになります。

旅行の目的が明確になっている場合は、一本の道筋に決めることが
できますが、業務の実施方法を設計する場合は、試行錯誤するケースが
圧倒的に多く、幾つかの活動の組み合わせを考えることが多いのです。

 最後のアウトプットは顧客へ引き渡されるものですから、
一番明確になっている「もの」です。

この決定的に明確になっている「もの」を出発点にして、
そこへのインプットを明確にしていきます。

次にはその前の活動のアウトプットを明確にする、というように一つづつ
最初の着手点に遡っていく設計は、必要条件しか明確にしないこととなります。

換言すれば、十分条件は選択しない。

この方法は、一般に言われている「バックキャスティング」という
考え方と同質なやりかたです。

■□■ 組織にはいろいろなプロセスがある ■□■

 当然のことですが、組織にはいろいろなプロセスがあります。

 旅行に例えれば、多くの社員がいろいろな目的地に向かって
いるような状況です。

 附属書SLに多く出てくるプロセスがときどき目的地が違う意味で
使用されていることを知っておく必要があります。

 冒頭に掲げた附属書SLに現れるプロセス一つひとつについて
確認してみましょう。

〇 4.4 XXXマネジメントシステム

 組織は,この規格の要求事項に従って,必要なプロセス及びそれらの
 相互作用を含む,XXXマネジメントシステムを確立し,実施し,維持し,
 かつ継続的に改善しなければならない。

 【QMSという活動のプロセス/事業という活動のプロセス】

〇 5.1 リーダーシップ及びコミットメント

 - 組織の事業プロセスへのXXXマネジメントシステム要求事項の
 統合を確実にする。
 
 【事業という活動のプロセス】

〇 6.1 リスク及び機会への取組み

 組織は,次の事項を計画しなければならない。
 - それらの取組みのXXXマネジメントシステムプロセスへの統合及び実施

 【QMSという活動のプロセス】

〇 7.5.1 一般

 組織のXXXマネジメントシステムは,次の事項を含まなければならない。
 - 組織の規模,並びに活動,プロセス,製品及びサービスの種類

 【事業という活動のプロセス】

〇 8.1 運用の計画及び管理

 組織は,次に示す事項の実施によって,要求事項を満たすため,及び,
 6.1で決定した取組みを実施するために必要なプロセスを計画し,実施し,
 かつ管理しなければならない。

 - プロセスに関する基準の設定
 - その基準に従った,プロセスの管理の実施
 - プロセスが計画通りに実施されたという確信をもつために必要な程度での,
 文書化された情報の保持

 組織は,外部委託したプロセスが管理されていることを確実にしなければならない。

 【事業という活動のプロセス】

以上