ナラティブ内部監査27 | 平林良人の『つなげるツボ』

—————————————————————
■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.323 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** ナラティブ内部監査27 ***
—————————————————————
ナラティブ内部監査実践のための5ステップ(下記)のうち、
第3ステップについて話を進めています。
・第1ステップ : 今行っている内部監査をレビューする。
・第2ステップ : どのような内部監査を行いたいか、行うべき
         かを組織内でコンセンサスを得る。
・第3ステップ : 内部監査員、被監査者の共同作業の基盤を作る。
・第4ステップ : 発見された課題(不適合、観察事項、気づき
         事項)などを問題解決する。
・第5ステップ : 問題解決したことを水平展開、歯止めして改善
         する。さらに、改善したことを革新へのインプ
         ットにする。

■ 第3ステップの共同作業の要素 ■
これまで、第3ステップについて、下記1~4までの説明をしてき
ました。
1.コミュニケー ション
2.自己理解
3.他者理解
4.よく聴く
5.よく伝える(アサーション)
6.個人と組織の共生

今回は、5.よく伝える(アサーション)について、話をしたい
と思います。前回「よく聴く」の要素の一つに、自己一致がある
と話しましたが、よく伝えるにもこの「自己一致」が一つのポイ
ントになると思います。「4.よく聴く」と「5.よく伝える」
の双方に関係する「自己一致」は会話において重要な要素である
ということが言えると思います。

■ よく伝える一歩は分かりやすく ■
よく伝えることの要諦は、まず分かりやすい、理解しやすいとい
うことです。自分の言いたいことが相手に伝わったか、伝わらな
かったかを考えるに当たって、反対の立場になって考えてみます。
もし、早口で、日常使われない言葉で、筋の通らない話を聞かさ
れたらどんな感じになるかを想定してみてください。当然「何を
言っているのか分からない」ということになると思います。
従ってよく伝えることの原則にはまず次の3つがあると思います。
もちろん、これ以外にもあると思います。
(1) 話すスピードを適切にする(早くもなく、遅くもなく)。
  勿論声の大きさも大切である。
(2) お互いに意味の通じる用語を使う。
  もし、専門用語などをどうしても使わなければならない場
  合は、意味を説明し、相手が納得してから使うとよい。
(3) 話の要点を纏めて話をする。特に何が要因でその結果何が
  起きたという因果関係を意識して話しをすると伝わりやすい。

■ 「アサーション」 ■
自分のことをうまく伝えるには「アサーション」ということを意識
すると良いと言われています。Assertionとは、辞書を引くと、
「自己主張,自分の意見をはっきり述べること」と出てきますが、
「アサーション」はより良い人間関係を構築するための「コミュニ
ケーションスキルの一つ」である、と言われています。
アサーションは、「人は誰でも自分の意見や要求を表明する権利が
ある」ということに基づく適切な自己主張のことです。自己主張す
ると伝わらないばかりか、逆に相手を刺激して伝わるものも伝わら
ないという方もいると思います。
ここでの要点は「適切な自己主張」です。ここで「適切な」とある
ことがポイントです。ただの自己主張とは違います。ただの自己主
張とは次のようなものです。
・ファクト(Fact)に基づかない。 
・感情が入っている。
 -競争心
 -功利心
 -嫉妬心
 -名誉欲
・論理的でない。

「適切な自己主張」は上のような要素を排除して、自身の主張を明
確に述べることです。明確に主張を述べないと、相手にはよく伝わ
りません。一方的に自分の意見を押し付けるのでも、我慢するので
もなく、お互いを尊重しながら率直に自己表現ができるようになる
には、それなりのトレーニングが必要です。