SDGインパクト基準8 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.355 ■□■
― ISOマネジメントシステムのテクノファ ―
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** SDGインパクト基準8 ***
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2015年に発表された国連「SDGsアジェンダ」についてお話をして
います。
SDGsとは、
“Sustainable Development Goals”の略で、「持続可能な開発」
と日本語訳されています。

350号で17目標の全体像をお伝えしましたが、以降一つひとつの目
標に関してお話をしています。今回は目標4についてです。

■■ 目標4 ■■
目標4 .すべての人々への、包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、
生涯学習の機会を促進する。
<2030年までに、すべての女児及び男児が、適切かつ効果的な学習
成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修
了できるようにする。>

世界の総ての子どもが教育を受ける権利があるにもかかわらず、貧困、
紛争、人種偏見、国家予算などの理由から多くの子どもたちが教育を
受けられていない現状があります。

2017年時点で、世界では6~14歳の1億2,400万人の子どもたちが
学校に通えていないそうです。

学校に通えない子どもたちは、計算や文字の読み書きができないまま
大人になってしまい、各種の格差を持ったまま人生を送ることになっ
てしまいます。

■■ 教育を受けられない国  ■■
識字率の低いアフリカ地域の国には子供が教育を受けられない国が多
く存在します。東ヨーロッパと中央アジアの国々の識字率は男性が
100%、女性が99%と高いのですが、南アフリカなどの途上国では識
字率が低く、したがって教育に対する認識が低い傾向があります。

識字率は教育を受けているかどうかで大きく変わるため、識字率で男
女格差のある途上国では男女間の教育格差があることが問題視されて
います。

■■ 女子だからという理由  ■■
貧困層が多い国では、男子が女子よりもいろいろな面で優遇される慣
習が多く残っています。そのため、家庭が貧困な場合は女子よりも男
子を優先的に学校に通わせます。

なぜ、女子が教育を受けられないのかと言うと、「児童婚」の文化があ
るからです。貧困層の女子は、体が未熟なうちから児童婚を強いられ
ることがあるため、「女子に教育はいらない」という解釈が広まってい
るのです。

女子が学校に通えない理由の1つにトイレ問題もあります。貧困や教育
不足で悩んでいる国は、インフラが整っていないため、水を引くことが
できずトイレがありません。

それを理由に、学校に通えない女子も多いのです。子どもが教育を受け
られるようにする支援の中には、学校に女子トイレを設置する取り組み
が多く見られます。

■■ 児童労働も学校へ行けない理由  ■■
途上国の多くの場所では家事や幼児の子育ては子どもが担っています。
貧困な家庭が多い途上国では、両親が揃って働いていることも多く、家
のことや小さなきょうだいの世話などの労働をしなければなりません。

そのため、学校へ通っている時間がなく、教育を受けられない状況に陥
ってしまいます。

家事関係の中で多くの時間を要するのが水汲みです。この労働の担い手
も子どもであることがほとんどです。

飲み水などを確保するのに水道や井戸がない地域が多く、池や川、湖ま
で水を汲みにいく必要があります。

水を汲むためには片道多くの時間のかかる場所に行く必要があり、しか
も家族が1日に使う量を確保するために何往復もしなければいけません。

■■ 戦争も大きな理由  ■■
現在ウクライナ戦争が目の前で行われています。TVでがれきの山となっ
てしまった街をみれば学校へ行くどころではないことは一目瞭然です。

学校に通えない子どもが暮らしている国では、戦争が長期化しているケ
ースが多いのです。

そのような国では、学校を訓練所や避難所に指定しています。学校が頑
丈に作られていることと、学校が町の中心部に位置しているのが理由です。

軍の訓練が行われているすぐ横で、子どもたちが勉強しています。そん
な最中、学校が攻撃されることがあり、子どもたちが命を落とす事例が
後を絶ちません。

学校に通う途中や帰宅する途中で攻撃に巻き込まれることもあり、安心
して学校に通える環境ではないのです。

■■  学校の建設  ■■
途上国では子どもの人数に対して学校の数が足りていません。1番近い学
校まで数十km離れているケースは珍しくなく、子どもたちはその道のり
を何時間もかけて徒歩で通っています。

その現状を変えるべく、学校を建設する支援も進んでいます。学校の建設
や教師の質向上を行っても、子どもたちが学校に通ってくれなければ意味
がありません。

そのため、現地で暮らす子どもや親に、教育の必要性を理解してくれる試
みも大切です。教育を受けないことの危険さや受けるメリットなどを指導
する必要があります。

教育は世界中のすべての人にとって人生を充実させる基盤となるため、な
くてはならないものです。