■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.102 ■□■ *** 外貨を買う *** ----------------------------------------------------- ■□■ 海外の人の見る目 ■□■ 堅い話が続いたので今回は少し柔らかい話をします。 前回のISO国際会議で一緒になった海外の方に、海外から見た日本の姿 について話を聞いたことがあります。 その時の話題の一つに「日本は買いだ」というものがありました。日本は円 が安くなり、日本からはいろいろなものを購入するチャンスである、という のです。 そういえば、最近中国の人が多数観光に来るとか、日本のマンションを購 入するとか、中国の富裕層の言動が話題になっています。 ■□■ 日本は買いの理由 ■□■ なぜ日本は買いなのか、そしてその買いはいつまで続くのでしょう。 実は日本の国債のランキングは中国、韓国より低いのです。興味がある 方は各付け会社3社(ムーディーズ、S&P、フィッチ)のWebをみてください。 日本の国債の各付けが韓国、中国より低いことに驚かれると思います。 ムーディーズ https://www.moodys.com/pages/default_ja.aspx スタンダード&プアーズ(Standard & Poor's・S&P) http://www.standardandpoors.com/ja_JP/web/guest/home フィッチ http://www.fitchratings.co.jp/web/ 2002年にムーディーズは日本の国債を格下げしました。 その際、日本の財務省は、日本のような先進国はデフォルトのリスクは限 りなく低いとして、異議を唱えました。 しかし、外から見える日本の姿は違うようです。格付けが下がっていく、そ れが海外の日本を見る姿なのです。 ■□■ 日本(政府)の借金 ■□■ その理由は、日本という国の家計は現在大赤字だということだろうと思い ます。日本の借金(国債発行残高)は、過去30年の間にとんでもない借金 に膨れ上がっています。 問題はいまだに毎年々、多額の借金を積み上げていることにあります。 日本国債(国債残高の推移参照 出典ウィキペディア) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E5%82%B5 毎年国家予算の編成時になりますと、プライマリーバランス(PB)が論じら れます。 このPBの議論とは収入と支出の差を0にしようという議論ですが、上のグ ラフで見るように毎年借金を積み上げています。 すなわち毎年、支出の方が多い国家予算を組んできた結果なのです。 日銀は国債を刷ってそれを自ら購入していますから(本来原則的には禁じ られている)、日本の国債の信用度は低いというわけです。 こんな背景のもと、日銀は2年前安倍ノミクスで円を大量に市場に出しまし た。いままでマスコミでずいぶん取り上げられてきましたが、デフレからの 脱却という黒田総裁の決断によるものです。 ■□■ 円安になった理由 ■□■ 日本経済再生の第一弾として数兆円の規制緩和がされ、当時80円台だっ た円があっという間に100円台になりました。この2年の間に円は大幅に安 くなりました。 私は時々海外出張しますので、その機会ごとにドルを購入します。10年前 115円でドルを買いました。それから数年で70円台になった頃は、たくさん 買ったわけではありませんが、心中穏やかではありませんでした。 しかし、最近は別の意味でやはり心中穏やかでありません。 それはこのまま円がどんどん安くなっていってしまうのではないかという 心配です。 その要因は日本の借金の急激な伸びにあります。このまま国債が発行さ れ続けられると日本円の価値はどんどん下がり、インフレが起こり貨幣価 値が大きく毀損されるのではないかという心配です。 ■□■ 現金、預金は持たない■□■ 皆さんがもっている現金、貯金、有価証券などはできるだけ物(土地、建 物、自動車)などに替えておくこと、或いは外貨に替えておくことが良いと思 います。 日銀の国債引き受けは、「当局が勝手にできる増税」です。 国債引き受けでインフレにしてしまえば、通貨価値が目減りするため、国 民から徴税するのと同じこととなるからです。 それによって、国の借金も目減りします。 現在、1000兆円を超える国の借金は、もしインフレになるとその分貨幣価 値が目減りして、借金も減ります。したがって、国のインフレ政策は見方に よっては国の借金返済戦略とも捉えることができます。