ISO9001キーワード 4 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.469 ■□■ 
― ISOマネジメントシステムのテクノファ ―
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*** ISO9001キーワード 4 ***
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ISO9001:2015規格に出てくるキーワードについて、世の中の広い情報から抽出した広範な周辺知識をお伝えしています。ISO審査員、内部監査員が職務をする行う時にこれらの知識を直接使用することは避けていただく必要があります。しかし、ISOマネジメントシステムが意図するところを一歩踏み込んで理解することはISOマネジメントシステムに関係する方々には有用であると思います。

■■ ジュエンダーによる「リーダーシップ」 ■■
ISOマネジメントシステム規格にはジェンダー※の問題は出てきません。女性と男性というジェンダーの問題は社会的に大きな問題であり、国による大きな違いがありますが、世界的には、リーダーシップのスタイルに極めて大きな影響を及ぼしています。
(1)ジェンダー役割の社会化
(2)組織における男女差と能力別のコース分け
(3)対人関係における男女別の役割
(4)個人におけるキャリア願望
日本は男女ジェンダーについては先進国の中では相当遅れていて、国際的な調査では世界で100番目以下に位置付けされてしまっています。
2023年の世界経済フォーラムによる日本のジェンダー指数ランキングは過去最低となる125位で、前年の116位から9ランクダウンしました。この低い位置付けの背景は、組織の重要なポジションに女性が居ない、行政においてもあるいは政府においても管理職以上の女性が少ない、平均給与に差があるなど、いろいろ世界から遅れているのが現状です。
※ ジェンダーとは女性と男性という本来持っている生殖機能の性差とは別にある文化的社会的性差をいう。

■■ 男性と女性のどちらが良い組織リーダーになるか ■■
以下の記事はアメリカの話ですので、日本より相当進んでいる国での話として理解してください。

1990年代のフォーチュン500の企業のなかで、女性はミドル・マネジメントの33%を占めているが、トップ・マネジメントに関しては2%しか占めていなかった。また、管理職や役員での女性と男性の給与の違いは、以前よりも縮まっているとはいえ、今なお実質的な違いが残っている。Rosenerはまた、男性の方が女性よりも周囲と打ち解けていると感じており、また男性の役員は女性の役員よりも、物事を他の同僚たちと同じように感じる傾向があるということを見出した。言い換えれば、依然としてトップの座は男性のために確保されているということのようである。
企業で働く女性の多くが、「ダブル・スタンダードを我慢しなければならず」成功するためには人一倍仕事をしなければならなかった。女性が間違いや失敗を犯すと、容認されにくい。巧妙な差別を報告する女性もいる。何人かによると、「それは、聞いてもらえない、アイディアが実行されない、会議から除外される、昇進が遅い、といったことである」。また、女性をラインに就けることを躊躇する企業もある。そのような企業は今でも、女性は子どもを持つと辞めていくので女性にお金を使うことは危険性の高い投資だ、と確信している。実際、男性の役員の95%が子どもを持っているのに対して、女性の役員は30%のみである(Rosener,1995)。
 男性と女性のどちらが良い組織リーダーになるかは、まだはっきりしていない。多くの研究が、男性と女性のリーダーシップのスタイルに違いはないということを示している。たとえば、カリフォルニア大学アーバイン校のRosener(1990)による男性と女性のリーダーについての研究では、女性の方が職場における人間関係の摩擦を減らすことがうまくできるとは言えないということ、そして女性の方が思いやりがあり、人道主義的だとも言えないということを見出した。リーダーシップが必要な状況において、彼女らは男性に劣らず主導的であり、ゴールを設定し達成することができた。今女性たちは、女性として共有してきた経験から開発してきたスキルと能力を活用することによって、女性の第2の波が経営トップへと向かっている。

出典 サニー・S・ハンセン著作「Integrative Life Planning」福村出版

女性がこれまで男性のリーダーが用いてきた「命令と統制」という方法から離れ、「相互リーダーシップ(interactive leadership)」と言われるスタイルに向かっていることが重要な点です。女性は、カリスマ性、対人関係スキル、ハードな仕事、人脈などを含めて、彼女らの努力が今の地位にいるのだと確信しています。相互のリーダーシップとは以下の4点がポイントと説明されています。
1.1人ひとりとの相互作用が、全員にとって肯定的なものにするよう努める。
2.参加を促す。従業員には、自分にパワーがあると感じさせ、WIN-WINの状況にいるということを実感できるようにする。
3.権力と情報を共有する。他者の意見を取り入れるために、継続して会議を開く。
4.フォロワーを元気づけるため、他者の自尊心を高め、仕事に熱中できる状況を創り出す。

相互作用的リーダーは、グループがまとまるように努めます。そのようなリーダーは、部下を称賛し、自分の優秀さをひけらかすことはせず、上役風を吹かすこともありません。しかし、「自分たちを祝福する」パーティー(懇親会)を開くという工夫をします。このような工夫は人中心の仕事環境においては極めて有効です。
(つづく)Y.H