ISO9001キーワード 人々 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.475 ■□■
― ISOマネジメントシステムのテクノファ ―
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*** ISO9001キーワード 人々 ***
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ISO9001の要求事項7.1.2 「人々」には以下の要求があります。
「組織は,品質マネジメントシステムの効果的な実施,並びにそのプロセス
の運用及び管理のために必要な人々を明確にし,提供しなければならない。」

■■ 人々の活性化がキー ■■
ISOに言われなくても人々が組織経営のコアであることは誰も否定することは
できないと思います。ISO9001ではこの後ろの7.1.4に「 プロセスの運用に関
する環境」という要求事項があります。
「組織は,プロセスの運用に必要な環境,並びに製品及びサービスの適合を達
成するために必要な環境を明確にし,提供し,維持しなければならない。
注記 適切な環境は,次のような人的及び物理的要因の組合せであり得る。
a) 社会的要因(例えば,非差別的,平穏,非対立的)
b) 心理的要因(例えば,ストレス軽減,燃え尽き症候群防止,心のケア)
c) 物理的要因(例えば,気温,熱,湿度,光,気流,衛生状態,騒音)
これらの要因は,提供する製品及びサービスによって,大いに異なり得る。
注記は要求事項ではありませんが、組織にとっては重要なことが書かれています。

■■ 人的資本開示の義務化 ■■
日本では、2023年3月の決算期より、上場企業においては人的資本の情報開示が
義務付けられました。世界の先進国においては、社会的な義務として人的資本
の情報開示要求が進んでいますが、日本でも遅れたとはいえ一部の企業(上場
企業)に義務されたのです。世界的規模ですすむ「人的資本経営」の流れをふ
まえると、自社の戦略人事をすすめていくことは、企業経営者にとって重要な
課題であると言えるでしょう。

このような潮流の中でISOでは2018年にISO30414が発行されました。ISO30414は
「ヒューマンリソースマネジメントー内部及び外部人的資本報告の指針(ガイ
ドライン)」の名が示すように、組織における人々の貢献を考察し内外部に報告
をする指針で、組織文化やダイバーシティ、後継者計画、労働力など全11領域
に関する指標が書かれています。

1.コンプライアンス及び倫理
規範に対するコンプライアンスの測定指標
2.コスト
採用・雇用・離職等労働力のコストに関する測定指標
3.ダイバーシティ(多様性)
年齢・性別・障害などに関する労働力とリーダーシップ/チームの特徴を
示す指標
4.リーダーシップ
従業員の管理職への信頼等の指標
5.組織文化
エンゲージメント等、従業員意識と従業員定着率の測定指標
6.組織の健全性、安全性及びウェルビーイング
労災等に関連する指標
7.生産性
人的資本の生産性と組織パフォーマンスに対する貢献をとらえる指標
8.採用・異動・離職
人事プロセスを通じ適切な人的資本を提供する企業の能力を示す指標
9.スキルと能力
個々の人的資本の質と内容を示す指標
10.サクセッションプラン(後継者計画)
対象ポジションに対しどの程度承継候補者が育成されているかを示す指標
11.労働力の利用可能性
従業員数等の指標

(つづく)