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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.482 ■□■
― ISOマネジメントシステムのテクノファ ―
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** ISO9001キーワード 人々8(人的資本と従業員エンゲージメント)***
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本年3月にISO30414規格に続いてISO30438規格という「エンゲージメント
尺度」を扱った「ヒューマンリソースマネジメント」規格が発行されました。
エンゲージメント尺度(測定スコア)を扱っているISO30438規格についてさ
らに話をしたいと思います。
■■ ISO30438:2024 2 ■■
ISO30438規格ではエンゲージメント尺度について、ユトレヒト・ワーク・エン
ゲ イジメント尺度(UWES)とギャラップ社尺度(Gallup Q-12)の2つを扱っ
ています。前号でお伝えしたようにこの2つの尺度(エンゲージメントを測る
スコア)は、2000年初期に開発されたもので20年にわたり現在まで世界中で
使用されてきたものです。
世界にはエンゲージメントを研究している専門家がいますが、彼らはエンゲー
ジメントの概念を次の3 つの被測定者の心情に分類しています。
(1)仕事上の役割と自己との関係性
(2)組織パフォーマンスを向上させるためのマネジメント
(3)バーンアウト(燃え尽き)に対するポジティブな心理状態
われわれが関心を持つ(2)の状況は、(UWES)及び(Gallup Q-12)ともに、従
業員が仕事をする上での関係性の概念と尺度を長年蓄積してきています。
特に(UWES)は従業員のウェルビーイングにも配慮し,多様な職場・職種にお
いて信頼性のある、又妥当性のある尺度であると評価されてきました。
しかし、最近では従業員エンゲージメントを変動するものである(時と状況に
よる)として、その変化を測ることが重要視されるようになっています。
元来、従業員エンゲージメントは「仕事に向けられた持続的な感情と認知によ
って特徴づけられる」とされてきました。すなわち、「特定の対象,出来事,
個人,行動などに向けられた一時的な感情」は意識されていませんでした。
■■ パルスサーベイとは ■■
しかし、終身雇用から転職当たり前の社会になり、雇用市場が流動化してきま
した。それに連動して、従業員の行動様式も大きく変わってきました。一度エ
ンゲージメント調査をしてもそれは一時的なもので、毎年変化する社員の心情
を的確に把握したいというニーズが高まりました。そこで登場したのがパルス
サーベイです(パルスは人間でいえば脈拍)。
パルスサーベイは、変化する社員の状況を把握したいという経営者の思いに応
えたエンゲージメント調査です。社員には月1回、5問くらいの質問が寄せら
れます。中には週1回というごく短い間隔での調査もあります。まるで監視さ
れているようで抵抗があるという社員もいますが、現在の時流をとらえた調査
であるといってよいと思います。
従来のエンゲージメント調査では、年1回の頻度で数十問の質問を行う手法で
したが、その前提は、1年位は社員の気持ちは大きく変化しないというもので
した。しかも、この方法は調査票作成から集計・分析までに時間がかかり、結
果の開示時には新鮮さが無くなってしまうという弱点をもっていました。また
質問数が多いため、人事だけでなく会社員にも大きな負担をかけるものでした。
刻一刻と変化する状況をいち早く捉え、問題解決に向けて素早く行動したい場
合は、パルスチェックも有効かもしれません。
パルスチェックの利点は次のようなものです。
・社員のエンゲージメントの変化を迅速に把握することができる。
・設問数が少ないため、スピーディーに設問設定、送付、集計、分析ができ、
課題の解決も迅速に着手できる。
・答える方も設問数が少ないため負担が軽くすむ。
逆に不利な点もあります。
・質問送付から分析、対策までが短く対策時間が少ない。
・簡便な質問なため社員の詳細な状況は把握できない。
・対策をとっても次のパルスサーベイが来てしまい有効性が見えづらい。
■■ 例えばこんな質問があります ■■
<会社について>
●知り合いや親族に自社のことをすすめたいですか?
●この1年の間で成長できる機会はありましたか?
<仕事に対して>
●業務遂行において時間が早く経過すると感じますか?
●自身の能力を発揮できていると思いますか?
<人間関係について>
●上司から仕事において褒められたことはありますか?
●仕事で困った時には仲間や上司は助けてくれますか?
<仕事への意欲に関して>
●会社は失敗を認め、次のチャレンジを与えると思いますか?
●社内には前向きに新領域に挑戦する気風がありますか?
(つづく)