ISO9001キーワード 認識 量子もつれ | 平林良人の『つなげるツボ』

2025年1月15日
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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.492 ■□■
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*** ISO9001キーワード 認識 量子もつれ ***
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ISO9001箇条7.3には「認識」というワードが出てきます。それとどう関係する
のかは次号でお話ししたいと思いますが、昨年暮れにNHKスペシャル「アイン
シュタインの誤りー量子もつれ」を観て考えさせられました。今回は新春の夢物
語として聞いていただきたい、チョット現実離れしたお話しをします。

■■ 量子もつれとは?  ■■
そもそも「量子」なんて言葉は久々に聞きました。大学で教えられたボア量子力
学には量子(光子)のぶつかりによるもつれ(Quantum Entanglement)は出て
こなかったと記憶しています。
アインシュタインにより強く否定され、オカルトの世界であるとまで酷評された
量子もつれが実は存在しているという2022年ノーベル物理学賞を話題に過去100
年に及ぶ論争を紹介した番組でした。
量子もつれを簡単にいうと「量子同士がシンクロする」ということですが、話は
壮大で、宇宙の端と他の端(この距離は何兆年光年?、誰もが推定、仮定できな
い話)に存在する2個の量子同士がお互いに同じように挙動するということが実
験で確認されたというのです。何のことを言っているのか、ということですが、
このことが認識→意識と大いに関係しているのだということをお話ししていきま
す。

■■ 人間の意識とは何か ■■
この番組を観るまでは、ISO9001(箇条7.3)に出てくる「認識」を踏み込んで
考えたことはありませんでした。要求事項として「組織は,組織の管理下で働く
人々が,次の事項に関して認識をもつことを確実にしなければならない。」
と書かれています。もちろん、ここで記述されていることは、組織の人が常に標
準を認識して行動することを求めており、それ以上深い意味はありませんが、理
屈っぽい私はつぎのような疑問を番組の後考えてしまいました。人間が認識する
とはどういうことなんだろう?という形而上の概念です。
ここからはISOを離れて読んでください。

■■ NHKの番組 ■■
NHKスペシャルでは、量子もつれの話を我々に分かり易く説明するために、ミク
ロ(量子)の世界の現象をマクロの世界(我々の現実世界)に置き換えて例えて
いました。量子の挙動を説明するために「だるまさんが転んだ」の例えが使われ
ていました。番組では、鬼が目をつぶっている画面でその間に仲間の子供たちは
どう動いているのか、本当はわからない、もしかすると消えているかもしれない、
とあまり詳しい説明もなく(トランスポーテーション:瞬時にある場所からある
場所に移動する)イメージ画像が登場していました。
量子というミクロなものの運動がそのままマクロの人間の動きと一緒のなってし
まうとオカルト?の世界の話になってしまいます。しかし、ミクロの世界がマク
ロの世界を作っていることもこの世の中の事実です。

■■ アインシュタインの誤り ■■
アインシュタインは量子力学の不完全性を証明するため、量子論(波動方程式)
を駆使して計算(又は思考)した結果、量子もつれの存在を指摘しました。その
後、物理学者ベルは量子もつれの実在の証明として、「ベルの不等式」を判定の
ツールとして論文発表します。このあたりの展開ストーリーは難しく私にはよく
わかりませんでしたが、大筋では「ベルの不等式」がその後の実験で否定されて
しまいます。私は量子もつれそのものが非現実的であり、ありえないことだと思
いましたが、何人かノーベル賞受賞者の実験では量子もつれは現実に存在し得て、
あり得ないと断じたアインシュタインが間違いであったという結論になっていき
ます。
アインシュタイン先生は、量子論が不完全だと決めつけたことから、計算(思考)
の過程で何か齟齬を起こしたのかもしれません。番組では、アインシュタインの
指摘に反し、量子もつれは存在することが証明されたことになっていますが、も
しアインシュタインが「量子もつれ」などという途方もない議論を提起しなかっ
たら、「量子もつれ」の議論そのものも起こらなかった、したがって量子コンピュ
ータの研究も起きなかった、ということになります。

■■ 人間の意識は量子? ■■
この宇宙において無数に起きている量子の動きは我々の脳内でも起きている?、
われわれの意識は心臓や脳と言った物質の働きの結果ではなく、脳に存在する量
子の働きである、という仮説を次回お話しします。

(つづく)