ISO 9004:2018の概要7 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.158 ■□■
*** ISO 9004:2018の概要7 ***
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ISO 9004:2018 の概要についての説明の7回目です。
ISO 9004は2018年4月に改定版が発行されました。
今回は箇条10「組織のパフォーマンスの分析及び評価」(その1)
についてご説明をいたします。

■□■10 組織のパフォーマンスの分析及び評価 ■□■

ISO 9001:2015は、適合性よりもパフォーマンスの重視を打ち出し
ました。
組織がマネジメントシステムの要求事項を実施に移しても、期待した
結果が得られないのでは、マネジメントシステムを構築した意味が
ないということです。

ISO 9004においても、パフォーマンスを評価するための情報収集,
分析,レビューを実施するプロセスの確立が必要であるとしています。
組織は,パフォーマンス評価の結果に基づき,学習、改善及び革新活動
を促進していきます。

収集すべき情報には,次の事項に関するデータを含めることを薦めています。

1. 組織のパフォーマンス

2. 内部監査又は自己評価の結果

3. 組織の外部及び内部の課題における変化

4. 利害関係者のニーズ及び期待

■□■ 10.2 パフォーマンス指標 ■□■

適切なパフォーマンス指標及び監視方法の選定は、進捗状況を評価する
測定及び分析プロセス、すなわち組織の効果的な測定及び分析に必要
不可欠なことです。

パフォーマンス指標の選定は、次のような情報から組織が実用的で適切で
あると考えるものからが望ましいとしています。

1. プロセス、製品及びサービスの特性の監視結果

2. プロセス、製品及びサービスに関するリスクアセスメント結果

3. 外部提供者及びパートナのパフォーマンス結果

4. 利害関係者の満足度に関するアンケート調査結果

主要パフォーマンス指標(以下,KPIという)として定義することが
望ましいものには、次のようなものがあります。

1. 組織が測定可能な目標を設定し、傾向を監視し、改善及び革新への
  処置を講じることができるもの。

2. 戦略的及び運用上の決定を行うための基礎として選定されているもの。

3. 最上位の目標の達成を支援するため,パフォーマンス指標として
  部署内で展開されているもの。

4. 組織の性質及び規模,製品及びサービス,プロセス並びに活動に適しているもの。

5. 組織の戦略及び目標と整合しているもの。

■□■ 10.2.4  KPIの選定 ■□■

KPIの選定に関しては、リスク及び機会に関する固有の情報を考慮します。
組織は,パフォーマンスが目標を達成しない場合の対応に、KPIから改善
するための情報を得ることが望ましことです。そのような情報は,次の
ような要素から得られます。

1. 利害関係者のニーズ及び期待

2. 組織にとっての個々の製品及びサービスの重要性

3. プロセスの有効性及び効率

4. 資源の効果的及び効率的な利用

5. 財務パフォーマンス

6. 適用可能な外部の要求事項の順守

■□■ 10.3  パフォーマンス分析 ■□■

組織のパフォーマンスの分析により,次のような課題の特定が
可能になります。

1. 組織内でのムダな資源

2.不十分な力量,不適切な行動

3.組織の十分に対処されていないリスク及び機会

4. 次のリーダーシップにおける弱み

‐方針の確立及びコミュニケーション(箇条7参照)

‐プロセスの運営管理(箇条8参照)

‐資源の運用管理(箇条9参照)

‐改善,学習及び革新(箇条11参照)

5.リーダーシップの潜在的な強み

6.傑出したパフォーマンスを示すプロセス及び活動

組織は,リーダーシップと組織のパフォーマンスとの間の
相互関係について,明確な枠組みをもつことが望ましいでしょう。
これにより,組織のリーダーシップの強み・弱みの分析が
できるようになります。

■□■ 10.4 パフォーマンス評価 ■□■

組織のパフォーマンスは,利害関係者のニーズ及び期待の
項目から評価することが望ましいことです。
ニーズ及び期待に達しないパフォーマンスが見つかった場合は、
パフォーマンスに影響を与えるプロセスを特定し分析する必要が
あるとしています。

同時にその原因に応じて,組織の方針,戦略及び目標の展開,
並びに組織の資源の運用管理について,適切なレビューを行う
ことが必要になります。

トップマネジメントは,評価の結果を理解し、組織の方針,戦略
及び目標に対する影響に基づき,特定されたパフォーマンスを是正
するための優先付けをすることが推奨されています。

組織のパフォーマンスで達成された改善を,長期的な展望から評価する
ことがいいでしょう。
改善の程度が期待されるレベルに達しない場合は,改善及び革新に関する
組織の方針,戦略及び目標の展開,並びに人々の力量及び積極的参加に
ついて,レビューする必要があります。