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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.169 ■□■
*** JIS Q 45100労働安全衛生MS規格5 ***
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前回から、2018年9月28日に公示されたJIS Q 45100(JISα)について
お話ししていますが、今回はその5回目です。
JISαには、OHSAS18001と同様に「リスクアセスメント(Risk assessment)」の
要求があります。
しかし、JISQ45001(ISO45001)においては、リスクアセスメントの要求は無く、
「リスクの評価(Assessment of Risk)」の要求となっています。
微妙に違うところをご理解ください。
■□■ JISQ45100の箇条6の概要 ■□■
【6.1.2 危険源の特定並びにリスク及び機会の評価 】
【6.1.2.1 危険源の特定 】
JIS Q 45001:2018の6.1.2.1を適用する。
【6.1.2.2 労働安全衛生リスク及び労働安全衛生マネジメントシステムに
対するその他のリスクの評価 】
(JISQ45001の箇条6.1.2.2が引用されている)
労働安全衛生リスクの評価方法及び基準は,負傷及び疾病の重篤度及び
それらの発生の可能性の度合いを考慮に入れたものでなければならない。
組織は,当該評価において,附属書Aを参考にすることができる。
組織は,労働安全衛生リスクを評価するためのプロセスに関する手順を
策定し,この手順によって実施しなければならない。
≪解説≫
JISαが追加している「労働安全衛生リスクの評価方法及び基準は,
負傷及び疾病の重篤度及びそれらの発生の可能性の度合いを考慮に
入れたものでなければならない。」という文章は、JISQ45001の定義と
同じです。
すなわち、箇条3.21 労働安全衛生リスク:
「労働に関係する危険な事象又はばく露の起こりやすさと、その事象
又はばく露によって生じる得る負傷及び疾病の重大性との組み合わせ」です。
これは、厚労省リスクアセスメント指針と整合がとられています。
また、JIS Q45001の箇条3.21では冒頭述べたように労働安全衛生リスクが
定義されており、上記の定義と内容は同じです。
【6.1.2.3 労働安全衛生機会及び労働安全衛生マネジメントシステムに
対するその他の機会の評価】
(JISQ45001の箇条6.1.2.2が引用されている)
組織は、当該評価において、附属書Aを参考にすることができる。
≪解説≫
附属書Aの記載には、「労働安全衛生機会及び労働安全衛生マネジメント
システムに対するその他の機会」に相当する事項がありますので、その部分を
参考にするとよいでしょう。
【6.1.3 法的要求事項及びその他の要求事項の決定 】
(JISQ45001の箇条6.1.3が引用されている)
組織は、当該決定において、附属書Aを参考にすることができる。
≪解説≫
附属書Aには、労働安全衛生に関係する「法的要求事項及びその他の要求事項」が
多く掲載されています。自組織に関係するであろう「法的要求事項及びその他の
要求事項」を 附属書Aから確認、チェックするとよいでしょう。
【6.1.4 取組みの計画策定 】
JISQ45001の箇条6.1.4を適用する。
【6.2 労働安全衛生目標及びそれを達成するための計画策定 】
【6.2.1 労働安全衛生目標 】
JISQ45001の箇条6.1.4を適用する。
【6.2.1.1 労働安全衛生目標の考慮事項など 】
組織は,労働安全衛生目標(JIS Q 45001:2018 の6.2.1参照)を確立しようと
するときには,次の事項を考慮しなければならない。
― 過去における安全衛生目標(JIS Q 45001:2018 6.2.1参照)の達成状況
組織は,労働安全衛生目標の確立に当たって,一定期間に達成すべき到達点を
明らかにしなければならない。
≪解説≫
この追加部分は、厚労省指針と整合がとられています。例えば、禁煙推進に
取り組む場合は、一定期間例えば1年の間に喫煙率○%低減といった達成すべき
到達点を明確にすることを求めています。達成目標を具体的に数値化することで、
定量的な達成度合評価ができます。さらに、もし達成目標が達成できなかった
場合は、過去の目標がなぜ達成できなかったかその原因を把握し、次年度の
安全衛生目標に反映させることを考慮することを示唆しています。
【6.2.2 労働安全衛生目標を達成するための計画策定 】
(JISQ45001の箇条6.2.2が引用されている)
組織は,労働安全衛生目標をどのように達成するかについて計画するとき,
a)~f) に加え,次の事項を決定しなければならない。
g) 計画の期間
h) 計画の見直しに関する事項
組織は,労働安全衛生目標をどのように達成するかについて計画するとき,
利用可能な場合,過去における次の事項を考慮しなければならない。
i) 労働安全衛生目標の達成状況及び労働安全衛生目標を達成するための計画の実施状況
j) モニタリング,測定,分析及びパフォーマンス評価の結果(9.1.1参照)
k) インシデントの調査及び不適合のレビューの結果並びにインシデント及び
不適合に対して取った措置(10.2参照)
l) 内部監査の結果(JIS Q 45001:2018 の9.2.1及び9.2.2 参照)
≪解説≫
この箇条は実行計画を求めており、多くの組織では「安全衛生計画」と
呼ばれています。
g)は、組織が実行計画を作製する時には、通常「○○年○月○日~○○年○月○日」と
実行計画のヘッダーに表記しますので、特に意識する必要ないでしょう。
h)は、実行期間中に、組織変更があったり、新たな機械設備が導入されたり、
法令の改正などがあった場合が想定されます。
i)~l)は、実行計画を策定するとき、過去の達成度合いを参考にして実行計画を
作成すべきであるとして、4項目をポイントに上げています。