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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.171 ■□■
*** JIS Q 45100労働安全衛生MS規格7 ***
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JISαに関する説明も最終回です。
ISO 45001労働安全衛生マネジメントシステムのJIS発行に合わせて、
JIS Q 45100が発行されました。日本では、危険予知訓練、ヒヤリハット、
5Sなど効果的な活動が行われてきましたが、それらを追加した規格がJISαです。
JIS Q 45100の認証制度が検討されていますが、今後詳しい制度の内容が
明確になると思います。
■□■ JISQ45100の箇条7、8の概要 ■□■
前回6回目の最後の説明7.5.1に続く要求事項です。
【7.5.2 作成及び更新 】
JIS Q 45001:2018の7.5.2を適用する。
【7.5.3 文書化した情報の管理 】
(JIS Q 45001の箇条7.5.3が引用されている)
組織は、文書化した情報の管理(文書を保管、改訂、廃棄などすることをいう。)
に関する手順を定め、これによって文書化した情報の管理を行わなければならない
≪解説≫
厚労省OSHMS指針第8条(明文化)と整合がとられています。文書管理の手順書は
新たに作成する必要はなく、既存の手順書を見直し必要に応じ修正することでよい
でしょう。
【8 運用】
【8.1 運用の計画及び管理】
【8.1.1 一般】
(JIS Q 45001の箇条8.1.1が引用されている)
組織は、箇条6で決定した取組みを実施するために必要なプロセスに関する手順を
定め、この手順により実施しなければならない。
組織は、箇条6で決定した取組みを実施するために必要な事項について働く人及び
関係する利害関係者に周知させる手順を定め、この手順により周知させなければならない。
≪解説≫
ここで要求されているのは「必要なプロセスに関する手順書」であり、取り組む事項の
全てについて手順を求めているわけではありません。厚労省OSHMS指針との関係では、
第13条(安全衛生計画の実施等)と整合がとられています。
【8.1.2 危険源の除去及び労働安全衛生リスクの低減】
(JIS Q 45001の箇条8.1.2が引用されている)
組織は、危険源の除去及び労働安全衛生リスクを低減するためのプロセスに関する
手順を定め、この手順により実施しなければならない。組織は、危険源の除去及び
労働安全衛生リスクの低減のための措置を6.1.1.1の体制で実施しなければならない。
≪解説≫
箇条8.1.2は、危険源の除去及び労働安全衛生リスクを低減するための措置の
実施について手順書を求められています。
【8.1.3 変更の管理】
JIS Q 45001:2018の8.1.3を適用する。
【8.1.4 調達】
JIS Q 45001:2018の8.1.4を適用する。
【8.2 緊急事態への準備及び対応】
JIS Q 45001:2018の8.2を適用する。
■□■ JIS Q 45100の箇条9の概要 ■□■
【9 パフォーマンス評価】
【9.1 モニタリング,測定,分析及びパフォーマンス評価】
【9.1.1 一般】
(JIS Q 45001:2018の9.1.1が適用されている)
組織は、モニタリング、測定、分析及びパフォーマンス評価のためのプロセスに
関する手順を定め、この手順により実施しなければならない。
≪解説≫
ここではモニタリング、測定、分析及びパフォーマンス評価のためのプロセスの
手順書を定めることが求められています。
【9.1.2 順守評価】
JIS Q 45001:2018の9.1.2を適用する。
【9.2. 内部監査】
JIS Q 45001:2018の9.2を適用する。
【9.3 マネジメントレビュー】
JIS Q 45001:2018の9.2を適用する。
■□■ JIS Q 45100の箇条10の概要 ■□■
【10 改善】
【10.1 一般】
JIS Q 45001:2018の10.1を適用する。
【10.2 インシデント、不適合及び是正処置】
(JIS Q 45001の箇条10.2が引用されている)
組織は、インシデント、不適合及び是正措置を決定し管理するためのプロセスに
関する手順を定め、この手順により実施しなければならない。
≪解説≫
インシデント、不適合及び是正措置を決定し管理するためのプロセスの手順書を
定めることを要求しています。
【10.3 継続的改善】
JIS Q 45001:2018の10.3を適用する。
以上がJIS Q 45100(JISα)規格の概要です。繰返しになりますが、JIS Q 45100は
ISO 45001に日本の追加要求事項を上乗せした規格です。その特徴は、今まで7回に
わたって述べてきたことに加えて、附属書Aに法律に関係する多くの記述がある事です。
JISQ45100の認証を受けたい組織は、この約50項目ある法的項目の中からマネジメント
システムに盛り込みたいものを自分で選択することで、より充実したシステムを構築
できるようになっています。
附属書AについてはJIS Q 45100をご覧になってください。