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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.214 ■□■
*** 標準化―ISO 9001-8 ***
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今回もISO 9001箇条4.3にある「適用可能性」について述べていきたいと
思います。ISO 9001を組織がどのように利用するのか、そして適用させよう
とするのかは、一つに組織がどのように自身の現状を分析し、どこを強化
したいのか、またどこを改善したいのかを検討し、方向性を出す中から
決まってくるものです。
前回は箇条9.1「監視,測定,分析及び評価」を考えてみましたが、今回は、
箇条7.2「力量」について考えてみたいと思います。
■□■ 箇条7.2力量の要求事項 ■□■
箇条7.2「力量」には、「組織は,次の事項を行わなければならない。」と
あって、その次に「a) 品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び
有効性に影響を与える業務をその管理下で行う人 (又は人々)に必要な
力量を明確にする。」とあります。
a)の他にもb)、c)、d)と3つの要求がありますが、一つずつ考えて
いきたいと思います。
まず、「その管理下で行う人」とは誰でしょう。
「その」は「組織の」と読み替えられるので、組織のなかで誰かの管理の元、
QMSのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務を行う人を明確にする
必要があります。
■□■ 箇条7.2力量の要求事項 ■□■
「管理下」とありますので、社長の管理下、部長の管理下、課長の管理下と
多くの管理下の人々が組織にはいます。
組織は、力量への要求事項を分析して、どのようにこれらの要求事項を組織に
活用しようかと検討することが望まれるところです。当然のことですが、
組織に良い結果をもたらす活用を検討することになります。
もし、ここで社長の管理下というと部長クラスの人々が対象となります。
部長の管理下というと課長クラスの人々が対象となるでしょう。
課長の管理下というと現場第一線で働く人々が対象となるでしょう。
ここでは現場第一線の人々の力量を検討したいと思います。
■□■ 影響を与える業務 ■□■
「品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務」
とは何でしょうか。QMSの傘の下に入るすべての業務がQMSのパフォーマンスに
影響を与えると単純に考えがちですが、影響には大、中、小とあります。
日常業務を分析することと同じで、影響を与える業務も管理できる
大きさにまで分解する必要があります。この業務を行う人は例えば;
1.工場で製品の製造をしている人
2.工場で製品の検査をしている人
3.工場で機械の保全をしている人
4.工場でものを運搬している人
5.営業している人
6.企画をしている人
7.設計している人
8.生産技術を担当している人
9.購買を担当している人
10.クレームを処理する人
11.品質データを処理する人
12.輸送する人
13.教育する人
など、組織の多くの人が上げられます。
■□■ 重点志向か網羅志向か ■□■
1~13まで例を上げてみましたが、まだまだあると思います。
ここで、踏み止まって考えてみたいのですが、「品質マネジメント
システムのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務」を
上げろと言われたら多くの人が網羅的に上げるのではないかと
思います。
私は個人的には重点志向で上げることがよいと思っています。
重点的にと言っても「重点とする根拠は何ですか?」と
聞かれそうですが、ここで役に立つのがギャップ分析です。
1~13までの自社の現状をデータに基づいて以下の分析を
してみたらどうでしょうか。
・過去3年くらいの間で問題となった品質問題
・1~13までの業務との因果関係
このギャップ分析の結果を見て、当面(2,3年)力量の見直し、
強化を必要とする業務、人を特定することが望まれます。
■□■ 次回は以下を検討します ■□■
b) 適切な教育,訓練又は経験に基づいて,それらの人々が
力量を備えていることを確実にする。
c) 該当する場合には,必ず,必要な力量を身に付けるための
処置をとり,とった処置の有効性を評価する。
d) 力量の証拠として,適切な文書化した情報を保持する。