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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.220 ■□■
*** 統合化―ISO 9001-5 ***
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今回の「統合化」テーマは、ISO 9001:2015箇条5.1c)で要求されている
「組織の事業プロセスにQMS要求事項を統合する」に関して話を進めていますが、
「統合化」あるいは「統合」は、他の意味でも使われていますので整理が必要です。
■□■ 文書の統合 ■□■
1996年に、ISO 9001に続く2番目のマネジメントシステム規格ISO 14001(環境)が
発行されると、ISO 9001:1994とISO 14001:1996の文書を統合するという議論が
起きました。
今になっては共通テキスト(附属書SL)が制定されたので必要なくなりましたが、
当時はISO 9001とISO 14001の類似な要求事項に対する組織の文書は統合すべきで
あるという、議論というか、検討というか、いろいろな場面(コンサルティングの
場面など)で推奨がされました。
例えば、内部監査、マネジメントレビューなどの要求事項は、ISO 9001:1994と
ISO 14001:1996の両規格においては、語句が少し異なる、文章の順序が後先する
などの小さな違いはあるものの、要求事項の意図は同じであるので、それらに
対応する組織の文書は統合することがよい、という状況において「統合」という
言葉が使用されました。
■□■ マネジメントシステムの統合 ■□■
文書の次に「統合」という言葉が使われたのは、組織のマネジメントシステムの統合でした。
これは自然の流れであって、標準文書が統合されれば、当然実施、活動も統合されて
行われるのがよい、という理屈になりました。
しかし、組織によってはISO 9001:1994とISO 14001:1996を取り扱う部署が異なる、
例えばISO 9001:1994は品質保証部、ISO 14001:1996は総務部であるので、統合した
活動はできない、という話も当時よく聞きました。
■□■ 認証審査の統合 ■□■
ISO 9001が2000年に改正され、ISO 14001:1996と同じようにマネジメントシステムを
扱う性質の規格になると、認証の世界で統合審査の制度がつくられました。
ISO 9001:2000とISO 14001:1996を同時に審査すると、認証費用が7割くらいに
なるということで、世界でISO 9001:1994とISO 14001:1996の統合の審査が一気に
加速しました。
ISO/IEC 27001には、「統合審査」について次のように説明されています。
・3.4 認証審査(certification audit)
依頼者及び認証に依存する関係者から独立した審査機関によって,依頼者の
マネジメントシステムを認 証する目的で実施される審査。
注記 1 この規格では,“審査”という用語は,認証審査を簡略化したものとして用いている。
注記 2 認証審査は,初回審査,サーベイランス審査及び再認証審査を含み,
また,特別審査を含む こともある。
注記 3 認証審査は,マネジメントシステム規格の要求事項への適合について
認証を行う機関の審査 チームが実施するのが一般的である。
注記 4 合同審査とは,二つ以上の審査機関が共同で単一の依頼者の審査に当たる場合をいう。
注記 5 複合審査とは,同時に二つ以上のマネジメントシステム規格の要求事項に関して,
依頼者を 審査する場合をいう。
注記 6 「統合審査」とは,二つ以上のマネジメントシステム規格の要求事項を単一の
マネジメントシステムに統合して適用した依頼者を,二つ以上の規格に関して審査する
場合をいう。
■□■ 組織の事業プロセスに統合 ■□■
歴史的に「統合」という語句の意味するところが、3種類あるという説明をして
きましたが、今までの3種類と密接な関係がありますが、ISO 9001:2015年版では
4つ目の意味を持つ「統合」という語句が使用されています。
ISO 9001:2015における4つ目の「統合」は、前回までに述べてきた
「組織の事業プロセスに統合」という意味において「統合」という言葉が使用されています。
従来には無かった「事業プロセス」という概念の理解が、この4つ目の統合の理解には
必須であることを分っていただけると思います。