ISO 9004:2018持続的成功を達成するための指針-3 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.223 ■□■
**ISO 9004:2018持続的成功を達成するための指針-3**
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ISO 9001:2015の関連規格ISO 9004:2018 について話をさせて
いただいています。
ISOマネジメントシステム規格が発行されると、その解説本が
出版されますが、ISO 9004 についても同様で、6月に
「ISO 9004:2018解説と活用ガイド:ISO 9001からISO 9004へ、
そしてTQMへ - 編集委員長中條武志」が日本規格協会から
出版されました。

■□■ ISO 9001、9004、TQM ■□■

今回のISO 9004の解説書で私が注目したのは、「ISO 9001から
ISO 9004へ、そしてTQMへ」という副題です。
ISO 9001とISO 9004の関係は、かつてはコンシステントペア
(consistent pair:一致した2つ)と呼ばれ、箇条ごとに調和した
記述がされていました。
2008年からは、ISO 9001とISO 9004は完全な一致では無くなり
ましたが、ISO 9001要求事項を超えて組織に成果をもたらすガイドを
記述するというISO 9004本来の狙いはそのとおり変更されずにきています。
その意味では、今回のISO 9004:2018 もまったく同様で、ISO 9001を
意識して組織にさらなる価値を提供するという観点で指針が記述されています。

■□■ そしてTQMへ ■□■

しかし、ISO 9004:2018は、前回述べたように「組織の品質」という
新しい概念を述べています。ISO 9004は、二者監査の代用として
使えるISO 9001よりも広範に、顧客及びその他の利害関係者のニーズ
及び期待を満たす活動を全社で行うことを示唆しています。
しかし、ISO 9001との一致性にこだわっていると、より広範な部署を
カバーしての活動にまで記述しきれないというジレンマがありました。

持続的成功と名前をつける以上は全社での活動、例えば、人事、
財務、経理、法務、経営企画、施設、ITサービス、CSR、研究開発
などの管理部門もQMS活動に参加すべきです。

■□■ TQMとは ■□■

TQMは、Total Quality Managementのことであり、日本では全社的(総合的)
品質管理と呼ばれてきました。組織の品質を上げるためには、例えば;

1. 品質不祥事を起こさない。
-不良品を流出しない。
-データを改ざんしない。
-法的要求事項を守る。

2. 関係企業と連携を取り、相互技術交流、相互研鑽を行う。

3. 改善活動の好事例を世の中に公表する。

4. 品質研究会、発表会、シンポジュームなどに参加して
社会といろいろな組織とオープンに交流する。

5. 環境(CO2排出、エネルギー削減、産業廃棄物など)に
配慮した経営を行う。

などを実施することになりますが、これらの活動はまさしく
全社の総ての人々が参加してこそ成果に繋げることができます。

■□■ 日本のTQM活動 ■□■

上記の「ISO 9004:2018解説と活用ガイド:ISO 9001からISO 9004へ、
そしてTQMへ」本では、ISO 9004:2018の活用を有効的に行うには、
TQMの方法論を活用することが一つの効果的な選択肢であるとしています。

そして、第4章では、TQMに関するJIS及び日本品質管理学会規格(JSQC規格)
を紹介し、解説をしています。
解説されているJIS及び日本品質管理学会規格(JSQC規格)は次のものです。

・JIS Q 9026 日常管理の指針
・JIS Q 9023 方針管理の指針
・JIS Q 9027 プロセス保証の指針

■□■ JIS及びJSQC規格 ■□■

企業は、組織の品質を向上させる、あるいは組織の価値を向上させることで
持続的成功に繋げていくことができます。そのためには、単純に言えば
製品・サービスを提供して、利益を上げることになりますが、利益を
上げるためには、製品が売れかつ原価管理ができていなければなりません。

この2つの条件、製品・サービス提供、コスト管理(無駄なことを行わない)
をどのように行うのかが、上記3つのJISおよびさらに3つのJSQC規格に
書かれています。

3つのJSQC規格とは次のものです。

・JSQC Std 31-001 小集団改善活動の指針
・JSQC Std 41-001 品質管理教育の指針
・JSQC Std 22-001 新製品・新サービス開発管理の指針