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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.234 ■□■
***ISO 9004:2018持続的成功を達成するための指針-14***
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今回はISO 9004 :2018「品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を
達成するための指針」の箇条9「資源のマネジメント」及び箇条10「組織の
パフォーマンスの分析及び評価」についてお話しします。
天然資源は国連SDGs(持続可能な開発目標)の6,7,14,15で扱われています。
・6:水
・7:エネルギー
・14:海洋資源
・15:陸上資源
■□■ 箇条9.7 天然資源 ■□■
IS O9004 :2018では組織が保有し、取り扱う資源に天然資源を上げていますが、
地球上の限られた資源の管理は社会全体の課題になっています。
地球温暖化が叫ばれている今日、組織は社会への責任を認識し,この認識に
基づいて行動しなければなりません。
組織は、消費する資源、エネルギーがどのような形で自然環境に影響を与えるかを
認識しなければならないとしています。
組織の資源、エネルギーの消費は、製品・サービスの提供の観点からは、持続的
成功に影響を及ぼす戦略的な課題として捉えることが必要でしょう。
組織は,水,土壌,原材料などの不可欠な資源をどのように取得し,維持し,保護し,
利用するかについて検討を重ねることが必要です。
組織は,そのプロセスが必要とする天然資源の現在及び今後双方の利用,並びに
製品・サービスのライフサイクルに関連する天然資源の利用による影響を
認識しなければなりません。
持続的成功のための天然資源の運用管理は、次の事項を検討することが必要で
あるとしています。
1.資源を戦略的事業事項として取り扱う。
2.利害関係者の期待する効率的な利用に関する新しい技術を得る。
3.資源入手可能性を監視し,スク及び機会を明確にする。
4.資源ライフサイクル(発掘から廃棄まで)全体を通じた資源利用の影響を見極める。
5.利用のベストプラクティスを実施する。
6.資源の利用を改善し,その利用による潜在的な影響を最小限に抑える。
■□■箇条10組織のパフォーマンスの分析及び評価■□■
「組織のパフォーマンスの分析及び評価」について説明をします。
ISO 9001:2015は、適合性よりもパフォーマンスの重視を打ち出しました。
組織がマネジメントシステムの要求事項を実施に移しても、期待した結果が
得られないのでは、マネジメントシステムを構築した意味がないということが
重要視されています。
ISO 9004においても、パフォーマンスを評価するための情報収集,分析,
レビューを実施するプロセスの確立が必要であるとしています。
組織は,パフォーマンス評価の結果に基づき,学習、改善及び革新活動を
促進していきます。収集すべき情報には,次の事項に関するデータを
含めることを薦めています。
1. 組織のパフォーマンス
2. 内部監査又は自己評価の結果
3. 組織の外部及び内部の課題における変化
4. 利害関係者のニーズ及び期待
■□■箇条10.2 パフォーマンス指標 ■□■
「パフォーマンス指標」は、進捗状況を評価する測定及び分析プロセス、
すなわち組織の効果的な測定及び分析について述べています。
パフォーマンス指標の選定は、次のような情報から組織が実用的で適切であると
考えるものからが望ましいとしています。
1. プロセス、製品及びサービスの特性の監視結果
2. プロセス、製品及びサービスに関するリスクアセスメント結果
3. 外部提供者及びパートナのパフォーマンス結果
4. 利害関係者の満足度に関するアンケート調査結果
主要パフォーマンス指標(以下,KPIという。)として定義することが
望ましいものには、次のようなものであります。
1.組織が測定可能な目標を設定し、傾向を監視し、改善及び革新への
処置を講じることができるもの。
2.戦略的及び運用上の決定を行うための基礎として選定されているもの。
3.最上位の目標の達成を支援するため,パフォーマンス指標として
部署内で展開されているもの。
4.組織の性質及び規模,製品及びサービス,プロセス並びに活動に
適しているもの。
5.組織の戦略及び目標と整合しているもの。