ISO 9004:2018持続的成功を達成するための指針-17 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.237 ■□■
***ISO 9004:2018持続的成功を達成するための指針-17***
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前回からISO 9004 :2018「品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を
達成するための指針」の箇条11の改善及び革新の話をしています。
「改善」は現状をベースに置いた活動ですが、「革新」は全く異なる基盤で
行われる活動です。

■□■ イノベーション-革新 ■□■

ISO 9004 :2018は改善及び革新の必要性を訴えています。改善はともかく
革新については、日本は相当遅れています。中国のハイアール、ファーウエイ、
韓国のサムソンなどはこの20年の間に大きく飛躍しましたが、その背景には
イノベーションを起こしたという事実があります。

例えば、ハイアールについて調べてみました。
日本の量販店では国内メーカーの製品がずらりと並び幅をきかせていますが、
実はハイアールは国内メーカーの10倍以上の製品を世界で売っています。
世界の白物家電は中国を中心に動いています。エアコンや冷蔵庫市場では、
もはや中国にはかないません。何しろ、エアコンについていえば
世界80%以上の製品が中国製になっています。

■□■ サムソン、ファーウエイ ■□■

ファーウエイは副社長がカナダで拘束され一躍有名になりましたが、
スマートフォーンでは驚異的な飛躍を遂げています。
今世界では、年間約14憶台のスマホが生産されていますが、その1位の
メーカーはサムソン、そして2位がファーウエイです。
日本では有名なアップルは3位に甘んじています。

そして驚くべきはその生産数と製造ラインの効率です。
サムソンは年間2億台、ファーウエイは1億8千万台のスマホを生産して
います。日産量に直すと、サムソン110万台/日、ファーウエイ100万台/日
というとてつもない生産をしています。
一日に100万台ものスマホをどのようにして作るのでしょうか。
サムソンは韓国国内問題で、ファーウエイはアメリカとの貿易戦争の影響で、
これらの生産量は(あるいは既に)減少していくと見られていますが、
大勢に影響は無いかもしれません。

■□■ 日本勢の生産量は? ■□■

それに対して日本メーカーはどうかと思い、日本メーカーのスマホ生産量を
これまた調べてみました。現在日本では、シャープ、ソニー、京セラ、富士通が
主な製造業者だそうです(他にもあったらすみません)。
2018年の数字になりますが、シャープが年産480万台、ソニーが380万台、
京セラ300万台、富士通250万台だそうです。なんとサムソン、ファーウエイは
日本勢の年産量をわずか3,4日でこなしていることになります

■□■ イノベーションと買収 ■□■

ハイアール、ファーウエイ、サムソンなど海外の大手メーカーは国内外の
優秀な企業を次々と買収し、技術もイノベーションして10年たてば全く違う
製造ラインを構築しているということです。中国企業躍進の筆頭といわれた
(いまはファーウエイ?)ハイアールは創業してから35年ですが、日本の
AQUA(旧・三洋電機)やアメリカのGEを買収するなどして急成長し、
いまや大型白物家電の世界シェアは10年連続して1位を占めています。

このような躍進企業を垣間見た方の話では、製造工場はIoTを駆使し、
ラインはカメラとAIで全数を識別しているという話ですが、詳しいことは
わかっていません。
ともかくもハイアール、ファーウエイ、サムソンなどの海外の新興大手メーカーは、
イノベーションにおいて日本の一歩も二歩も進んでいると思って間違いないようです。