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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.236 ■□■
***ISO 9004:2018持続的成功を達成するための指針-16***
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今回はISO 9004 :2018「品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を
達成するための指針」の箇条11「改善、学習及び革新」についてお話しします。
改革については2019年7月にISOからイノベーションマネジメントシステム
規格(ISO 56002 )が発行されています。
■□■ 箇条11 改善、学習及び革新 ■□■
本来、改善、学習及び革新はそれぞれ異なった概念ですので、同じ箇条で
取り扱うのには違和感があります。「改善」は現状をベースに置いた活動ですが、
「改革」は全く異なる基盤で行われる活動であると思います。
その両方に関係することが「学習」であると思います。
ISO 9004では組織の持続的成功に貢献する重要な側面としてガイドしていますので
「改善,学習及び革新」と3つをまとめて説明しています。
改善,学習及び革新は,製品,サービス,プロセス及びマネジメントシステムへの
インプットを生み出し,望ましい結果の達成に貢献するとしています。
組織は,外部及び内部の課題から,並びに利害関係者のニーズ及び期待から絶えず
変化に晒されており、影響を受けています。改善,学習及び革新は,持続的成功の
達成を支援するだけでなく,こうした変化に対応する組織の能力を高めることに
貢献することができます。
■□■ 箇条11.2 改善 ■□■
改善は,パフォーマンスを向上させる活動であるとして、コスト,時間,
エネルギー及び無駄の削減などの便益をもたらすものにならなければ意味がないと
説明しています。パフォーマンスは,製品又はサービス,若しくはプロセスにおいて、
組織が目標とすべき「測定可能な結果」と理解、利害関係者のニーズ及び期待を
満たし,経済的効率を増進させることで、組織を持続的成功に導きます。
改善活動は,地道な継続的改善から組織全体のトップ主導による著しい改善まで
広範囲にわたります。
組織は,そのパフォーマンスの分析及び評価の結果を利用しながら,その製品
又はサービス,プロセス,構造並びにそのマネジメントシステムの改善目標を
定めることがまず必要です。改善プロセスは,構造化されたアプローチに従う
ことが望ましいのですが、この方法論は,全てのプロセスに対して一貫して
適用する必要があります。そのためには、次のようなことが,組織文化の
一部となることが望まれます。
1.人々が参加し,改善の結果が成功に貢献する動機付け
2.改善を達成するのに必要な資源の提供
3.改善に対する表彰制度
4.改善活動へのトップマネジメントの積極的参加
■□■ 箇条11.3 学習 ■□■
学習は経験,情報の分析,並びに改善及び革新の結果から多くの情報源を得る
ことができ、学習と改善及び革新は相互に影響を及ぼしています。
組織は,学習によって個人の能力を上げることができますが、さらに個人の能力を
統合して、組織の能力を上げることにまでその目的を掲げることが必要です。
以下の事によって学習に関する情報を得ることができます。
1.成功事例及び失敗事例
2.様々な外部及び内部の課題
3.利害関係者に関連する情報
4.収集された情報の分析から得られる洞察
個人の能力を統合して組織の能力にするためには、人々の知識,思考パターン
及び行動パターンを組織の価値基準に合致させるように人々を誘導すること、
双方の組み合わせを考えることが推奨されます。
組織は,明白なもの又は暗示的なもの、組織の内又は外からの知識など、
いろいろな観点から知識を層別するとよいでしょう。組織は、知識を資産として
運用管理し,維持するために、知識を監視し、新しい知識を獲得するように
努めることも必要でしょう。
より効果的に知識を共有する学習組織になるためには、次のことを考慮することが
望ましいとしています。
1.組織の使命,ビジョン及び価値基準、組織の文化
2.トップマネジメントがリーダーシップを発揮することによっ
て,学習への取り組みを支援すること
3.組織の内外におけるネットワーク作り,人々のつながり及び
相互作用
4.学習及び知識の共有のためのシステムの維持
5.人々の改善を支持し表彰すること
6.創造性を認め,組織の異なる人々の多様な意見を尊重すること
■□■ 箇条11.4 改革 ■□■
組織の外部及び内部の課題,並びに利害関係者のニーズ及び期待からみて、
今のままではいずれ持続していけない、革新を必要とする時が来ます。
革新を促進するためには次の事項を行うことが望ましいとしています。
1.革新への固有のニーズを特定する。
2. 組織に革新的思考を奨励する。
3.効果的な革新を可能にするプロセスを確立する。
4.革新的なアイデアを実現する資源を提供する。
詳しくは、ISO 56002:2019を読むことをお勧めします。