環境問題への取り組み | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.15  ■□■
 
  *** 環境問題への取り組み ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

今日、環境問題は毎日のように新聞を賑わしています。

では今回も宜しくお願いいたします。

■□■ 地球規模で考え、足元から行動しよう ■□■

“Think Globally, Act Locally.” 5,6年前に誰が言い始めた
言葉か不明だそうですが、すっかり有名になりました。

50年前、日本の環境問題は、「事業活動によりもたらされる害」
を意味した「公害」で代表されていました。例えば、工場からは
有害な物質を含んだ粉塵が大量に大気に放出されていました。

近隣に住む人々の洗濯物はススで汚れ、有害物質は付近の田畑
に降り注ぎ土壌汚染の原因になったりしました。更に、工場密集
地域である川崎、四日市などでは大気汚染が原因となった
光化学スモッグが発生したり、住民に気管支喘息が発病したり
しました。

これらに対する対策の一つは、煙突を高くして汚染物質を広く、
遠くに拡散することでした。しかし、この対策では汚染物質が
薄まっただけで総量が減ったわけではないので、当時の対策は
近視眼的な対症療法であり、根本対策ではなかったといえます。

公害から環境問題へと言葉の変化に伴い、我々の意識も地域規模
から地球規模に変化してきました。自分達の近隣だけでなく、
地球規模で物事を考える、すなわち有害物質の総量を規制する、
削減することなどが必要ですが、逆にいくら地球規模で考えても
一人ひとりが何かを実践しなければ何も変わりません。

今日の環境問題はともすると地球規模に拡大して考えられるため、
現実感が薄まり、問題の所在が自分達の足元にあるにも
かかわらず昔の公害のように見ることができず、問題を分かり
づらくしているといえます。

■□■ 明日のエコでは遅すぎる ■□■ 

“Think  Tomorrow, Act Today.” 明日のために今日やろう、
明日のエコでは遅すぎる、TVのコマーシャルでこれも有名に
なりました。

地球には約14億立方kmの水がありますが、その内、地球の表面積の
約70%を占める海にある海水が約13.6億立方km(97%)です。
ですから我々が飲み水として使用できる淡水は、0.4億立方kmすなわち
約3%しかありません。

しかもこの淡水の約70%、約0.3億立方kmは南・北極地域の氷として
存在しているので、実際には使用できません。我々が飲食用に
利用できる飲み水は地球上の水のわずか約0.1億立方km、0.8%で
しかありません。

その多くは地下水、川の水や湖・沼などに存在し、私たちの生活に
密接するところに存在します。この地球上にわずか0.8%しかない
淡水を我々は長い間汚染してきました。

貴重な水を汚染するのは、工場からの重金属、農場、ゴルフ場
などからの化学物質、家庭からの雑排水などですが、1970年に
成立した水質汚染防止法はさまざまな汚染物質の排出規制を
続けてきました。しかし、未だに栄養負荷の増大(肥料分や栄養塩
の増大)などによる湖沼、河川の汚染は続いています。

今できることをすぐやり、未来の子孫にきれいな地球を残して
いきたいものです。

■□■ 環境について学ぶなら ■□■

テクノファでは、環境問題に関する基礎知識を学ぶための
コースをご用意しております。ご参照下さい。

9月4日開催 ISO14001規格入門コース(TE51)
http://www.technofer.co.jp/training/iso14000/te51.html

9月9日~10日開催 ISO14001中小企業のためのシステム構築
コース(TE61)
http://www.technofer.co.jp/training/iso14000/te61.html

9月18日開催 「わかりやすい環境関連法規制」セミナー(TE73)
http://www.technofer.co.jp/training/iso14000/te73.html

■□■ 今何ができるのか ■□■

“What can we do ?”自分達に今できることはどんなこと
でしょうか。

日本での土壌汚染への対策は他の対策に比べて遅れましたが、
アメリカでは1980年にスーパーファンド法ができています。
これは1978年に起きた「ラブキャナル事件」がきっかけとなって
います。

土地開発を行う事業者は開発資金の数%の信託基金(スーパー
ファンド)を米国環境保護庁に土地汚染の浄化費用として積み
立てなければなりません。

ラブキャナル事件とは、米国ナイアガラ滝近くのラブキャナル運河
(ニューヨーク州)の周辺で奇形児が多く生れた事件です。
原因を探っていったら、ある化学合成会社が土地に廃棄した
投棄農薬・除草剤に含まれていたBHCやDDM、TCP、ベンゾクロライド、
ダイオキシンやトリクロロエチレン等の有害な化学物質が原因でした。

今、無農薬、有機栽培が話題になっていますが、近隣のゴルフ場
では芝生を雑草から守るために大量に散布した枯葉剤が雨水に
混ざって流れ、せっかく無農薬で行っている田畑を汚染させて
しまっているそうです。

■□■ もったいない ■□■

“Save Energy, Make Mottainai.”「もったいない」は今や
世界共通語になりつつあります。

ワンガリ・マータイさんはケニアの副環境大臣ですが、2005年
に国連の総会において、日本語の「もったいない」精神をエネルギー
の枯渇に対する言葉としてピッタリだと紹介してくれました。

彼女は2005年京都議定書に関する基調講演会出席のため来日
しましたが、このとき日本独特の「使いまわし」や、「ものを大切に
する」精神を知り、いつか世界にこの言葉を発信したいと決めた
そうです。ちなみにマータイさんは2004年度のノーベル平和賞
受賞者です。

東京都では「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度」
を開始しました。2010年~2014年に8%の温室効果ガス排出削減
を目標としたプロジェクトです。これは、東京都環境確保条例の
規則改正に伴う罰則を伴う一種の規制であるといえます。

7月下旬には基準排出量を検証する検証主任者の研修/試験も
行われます。
検証主任者になるためには、次のどれかの業務経験が必要と
されています。
 ・省エネ診断業務
 ・ISO14001審査業務
 ・CDM有効化審査業務
 ・試行排出量取引/国内クレジット/JVETS/JVER検証業務

東京都内の約1300事業場が対象になるといわれていますが、
組織の全員が「もったいない」精神を発揮しないと8%ものCO2削減
は難しいのではないでしょうか。