■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.25 ■□■
*** チンギス・カンの国モンゴル ***
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テクノファ代表取締役の平林です。
今回は「マネジメントシステムには良い設計が必要」から外れて
モンゴルについてお話をしたいと思います。
■□■ なぜモンゴルか ■□■
2009年12月21日から25日までモンゴル、ウランバートルに業務出張
しました。
経済産業省からの委託で「IT資格試験」についてのセミナー講師を
行ってきました。
いまやITを押さえれば国も、組織も、更に個人までもがコントロール
できる時代となってしまいました。
日本はIT技術者に関する独自の国家資格システムを過去30年間
運営してきていますが、そのシステムをアジア各国に無償で提
供しようというプロジェクトが進んでいます。
この日本主導によるIT技術者資格制度は、2006年、フィリピン、
タイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、モンゴル、日本の
7国で”ITPEC”という連合組織を立ち上げ推進が始まりました。
残念ながら、中国、インドといったIT大国は参加していませんが、
人材教育を含めた Capacity Building は途上国支援としては
有効な方法です。
■□■ 対日感情 ■□■
大相撲の人材がモンゴルから来ていることもあってか、対日感情は
すこぶる良いと感じました。もともと対日感情が良かったから、
日本へ人材が来ることになったのかもしれません。
日本大使館の話では、世界で人口対日本語学習者比率が一番
高い国がモンゴルだそうです。我々が接した若い人たちの多くが
初歩的な日本語を理解しました。
13世紀後半の鎌倉時代に日本にまで攻めてきた国というイメージと
対日感情の良さとが複雑に絡んだ思いで1週間を過ごしました。
■□■ 13世紀はチンギス・カンの時代 ■□■
国のあらゆるところにチンギス・カンの肖像が掲げられています。
空港、商店、街角。あるいはオフィスなど、何処に行っても目
につきます。
今回の「IT資格試験」セミナー実施機関の責任者執務室にも、
正面の壁に大きなチンギス・カンの肖像が飾られていました。
13世紀に100万人くらい(現在約300万人)の国であったチンギス・
カンは、それだけ傑出した人物であったといっていいのでしょう。
■□■ 皆をつなげる心の支柱 ■□■
かって日本がそうであったように、人々をつなげる理念、国づくりの
熱情、言わなくても理解できる共通のベースのある国がモンゴル
でした。
多分、チンギス・カンの教えを脈々と受けつぎ、雄大な自然の中で、
人と人との繋がりを大切にした国作りをしてきたのではないかと
想像します。
組織(人)を束ねるものがお金だけであるという社会はさびしい
ものです。お金は必要ですが、それほど多くはいらないものです。
若い国であるモンゴルへ行ってきてつくづくそう思いました。
■□■ 物づくりの国から金融博打の国へ ■□■
日本の国民総生産(GDP)はここ10年ほぼ一定で約500兆円です。
そのうち物の動きを示す貿易額は約160兆円ですが、為替の取引は
一日40兆円もあるのだそうです。なんと4日間の取引で1年分の
貿易額と同じです。
いいかえると年間の為替取引(250日*40=10000兆円)の2%以下で、
貿易額に必要な円はカバーできているのです。実需160兆円以外、
残りの98%の為替取引はお金のやり取りだけで稼ごうという、
ある意味博打といっていい取引なのです。
為替取引には課税すべきである(利益にではなく取引そのもの
に)という論も頷ける状況なのです。