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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.26 ■□■
*** 固有の目標 ***
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今回も「マネジメントシステムには良い設計が必要」について
その3、【c)固有の目標によってQMSの設計は影響を受ける】に
ついてお話をしたいと思います。
■□■ ミャンマーは固有に溢れた国 ■□■
3月のミャンマーは暑い日の連続でした。IT(情報技術)のセミナー
講師としてヤンゴンに行ってきました。
有名な「ビルマの竪琴」の国とはどんな所か、初めて訪れる国は
いつでもそうですが、事前にいろいろな期待に気持ちが高ぶります。
クアラルンプールに仕事がありましたので、マレーシアから
1.5時間の飛行でした。それにしても、旧日本軍はこんな所にまで
来たのかと今更ながら驚きます。
あまり事前調査もせずに行ったので、現地にきてからいろいろと
考えさせられる旅でした。なにしろ固有な事が多い国です。
■□■ 両替ができない ■□■
まず入国審査がやたらと厳しい国です。軍事政権下ですから
当たり前なのでしょうか。スーチーさんもまだ軟禁状態でしょうし…。
日本でビザの申請をしたのですが、パスポートへの証明印以外に
写真を貼った証明書を別に2通作成しなければなりませんでした。
国際空港は簡素な小奇麗なビルでしたが、迎えに来てくれた
ホテルの運転手に空港内両替所へ連れて行ってくれと頼んだのですが、
ここには両替所はないと言うのです。
えっ両替所がない、その国のお金はその国へ入って交換するのが
交換率がよいと教えられていましたが、40カ国以上行って両替所が
ないと言われたのは初めてです。
■□■ ホテルもだめ ■□■
分かった、では取りあえずホテルへ行こうということで、フロントで
円を現地通貨(kyats:チャットと発音)に交換するよう
申し出たのですが、円は取扱わないと言われてしまいました。
3日間の滞在予定ですが、タクシーも使うし、小銭は絶対に必要です。
困っているとボーイが「ブラックマーケット」を紹介すると言います。
ブラックマーケット?、そんな怖いところへ行くのはイヤだ、
同行者と顔を見合わせていましたが、大丈夫だというボーイの
奨め?で意を決して行くことにしました。
なにしろ、空港からホテルに来た車代も払えないのですから…。
この話の続きは次回にしますが、国の方針で公的交換所を持って
いないようです。固有なことは、顧客に迷惑をかけないことで
やってもらいたいとつくづく感じました。
■□■ 固有の目標によって影響を受ける ■□■
ISO9001:2008規格の序文には、【c)固有の目標】によってQMSの
設計は影響を受けるとあります。
組織はすべてがユニークで特徴のある存在です。当然品質マネジメント
システムの設計に当たっては、その組織に固有な目標を考慮しなければ
なりません。
ISO9001:2008規格の5.3には次の要求があります。
【5.3 品質方針
トップマネジメントは,品質方針について,次の事項を確実に
しなければならない。
a)組織の目的に対して適切である。
b)要求事項への適合及び品質マネジメントシステムの有効性
の継続的な改善に対するコミットメントを含む。
c)品質目標の設定及びレビューのための枠組みを与える。
d)組織全体に伝達され,理解される。
e)適切性の持続のためにレビューされる。】
ここで要求されている「a) 組織の目的に対して適切である」は、
まさに組織に固有な目標のことを意味しています。
■□■ 固有とはなにか ■□■
固有とはその組織にだけあるものをいいます。固有な目標は当然の
ことですが、そこから派生する結果が何らか顧客、社会から見て
評価できるものでなければなりません。
組織はいろいろな目標を持ちますが、その妥当性は次のような
観点からチェックするのがよいでしょう。
・目標達成から得られるもの
・目標達成の難易度
・目標の評価性