コミュニケーション1 | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.30 ■□■

    *** コミュニケーション ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

先日ISO/TC176の国際会議(総会)で1週間コロンビアのボコタへ
行ってきました。

今回も宜しくお願いいたします。

■□■ コロンビア、ボコタ ■□■ 

コロンビアでは入国前に考えていたほど英語が通じませんでした。
入国審査では、スペイン語ができなければきちんとした意志疎通が
できないことがわかりました。スペイン語ができない私にとって、
空港では苦労の連続でしたが、ホテルのフロントでやっと英語が
通じ、ほっとしました。

出発時にボコタは標高2600mの高地にあると聞かされていましたが、
思った以上に寒く体調管理に苦労しました。平均気温が15度との
情報があったので、セーターも用意していきましたが、朝晩は
もっと厚手の衣類が必要でした。

富士山の6合目という高地では、酸素が薄く、アルコールを飲めば
酔いは早く回るし、時差ボケはなかなか取れないし、いつも
何となく疲れた気分でしたが、体調管理に慣れた頃には帰国という
1週間でした。

ボコタでは10年前位に商社の幹部が拉致された事件もあり、
事務局からはできるだけ市街には出ないようにと言われて
いましたので、1週間専用バスによるホテルと総会会場との
往復だけで一切市街地には出ませんでした。

■□■ 「ISO/TC176の総会」とは ■□■

ISOにはTC(Technical Committee:専門委員会)と呼ばれる委員会が
数百あります。TCは3万近いISO発行の規格(標準)を最新化したり、
新規格を審議したりする役割を担い、最終的に国際規格の発行にまで
こぎつける機能を持っています。

私の属しているTCはTC176と呼ばれ「品質マネジメントシステム
:ISO9001」の規格を審議しています。TC176は1981年に176番目の
専門委員会として組織化されました。ちなみに、TC1は1927年に
組織化された「ねじ」の規格を審議する専門委員会だそうです。

それぞれの総会は、原則1年に1回開催されることになっていますが、
今回のTC176の総会は昨年の東京総会(2009年2月)に続くものです。

今回は実質1年半ぶりの総会で、今後のISO9001規格のあるべき姿、
next 10years strategy が大きなテーマでした。

■□■ 今後のISO9001はどうなる ■□■

さて、次回に改訂が予定される9001規格はどのようなものになる
のでしょうか?
既に今年2月には、ロンドンで次回9001規格に関する会議が開催
されています。日本からは出席しませんでしたが、ロンドンでは
次期ISO9001規格をどのようなものにすべきかの議論が行われ
ました。2009年2月の東京総会におけるブレーンストーミングに
つぐ議論でした。

2月ロンドン会議では幾つかの要素についてコンセプトを議論
しましたが、今回はそれらを継続して行うこととISO9001規格への
影響についての考察をまとめる会議となりました。

私は、プロセスの結果/改善/効果性(Results/improvement/
effectiveness) について議論をするグループのリーダーに
なりました。

私のチームは総勢5名、国籍はインド、香港、メキシコ、チェコの
非英語圏(インド、香港は英語圏か?)のグループです。たまたま、
非英語圏の委員だけが集まったわけで、最初からメンバー構成が
決っていたわけではありません。

英語圏の委員はつい自分のペースで話をするために他の委員が
ついていけないことがありますが、今回はお互いがそうした経験を
活かし、じっくりとテーマについて検討することができました。
非英語圏のグループだとはいっても、インド、香港の委員の英語は
他の委員の英語より流暢です。

■□■ 国際会議でのポイント ■□■

言葉の問題は国際会議についてまわる基本的な問題ですが、相手の
言っていることが理解できなければ、そこで即刻「わからない」
と言うことがポイントです。

この「分からない」と言い出すことは若干勇気がいるのですが、
その後ずーっと議論の道筋から外れていってしまうことを考えると、
分からないと思ったタイミングで一言発言することです。

「聞くは一時の恥」とかいいますが、恥でもなんでもなく、
聞いている人の権利であると思わなくてはいけないと感じます。

この点、日本人は奥ゆかしい、遠慮しがち、消極的、内向的など、
いろいろな表現がありますが、兎に角そこで質問する事が重要なの
です。
 

■□■ 大したことを言っていない ■□■

質問すると丁寧な回答が帰ってきますが、こちらの聞き間違え
だったり、相手が勘違いしていたりといろいろなケースがあり
ますが、私のケースでは相手が勘違い、あるいは論理の飛躍、
筋の通らないケースが多くありました。

勿論、相手の発音が不明瞭だったり、こちらの聞き取りが充分で
なかったりするケースも多いのですが、日本語の会話と同じで、
意味が通じなかったらそこで意思疎通を図っていくという
ことが重要であるということが言えます。

それにしても、英語という言葉の飾りに惑わされ、内容の吟味が
されないケースがよくあります。

英語で話されるとなんとなく立派に感じてしまうのは、英語
コンプレックスを持っている日本人の常ですが、内容を確認すると
「たわいもない」ことを言っていることが多くあります。

我々、日本人は論理的な考えで筋を通して議論することに慣れて
いないとよく言われてきましたが、私の経験から言うとそれは
個人的な属性であって、国ごとに傾向があるとはとても思えません
でした。