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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.165 ■□■
*** JIS Q 45100労働安全衛生MS規格 ***
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今回からは規格発行が9月末に予定されているJIS Q 45100について、
数回に分けてお話ししたいと思います。
■□■ JIS Q 45100の概要 ■□■
ISO/PC283(OH&SMS技術専門委員会)の国際会議において、日本の提案
(5S、ヒヤリハット、危険予知訓練などの日常活動)は、詳細すぎると
いうことで採用には至りませんでした。
このような国際規格(ISO 45001→JIS Q 45001)発行の背景から、
ISO 45001の効果的な運用を図るためには、日本独自の安全衛生活動等を
取り入れた、もう一つのJISの開発をすることがよいのではないか、と
いう検討がはじまりました。
日本独自の安全衛生活動とは、リスクアセスメント、5S、危険予知訓練、
ヒヤリハット訓練などの日常安全衛生活動のことですが、これは1999年
発行の“労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針(以下厚労省指針)”
に盛り込まれています。
厚労省指針にはあってISO 45001にない項目を抽出して、JIS Q 45001に
追加した規格がJIS Q 45100です。
■□■ JIS Q 45100運用の意義 ■□■
JIS Q 45100は、前述のとおり日本独自の安全衛生活動をベースに作成
されていることから、JIS Q 45100の要求事項は既に組織で実施されて
いることが多いと思います。
多くの組織では、既にJIS Q 45100を運用するための準備はできている
と言えると思います。
JIS Q 45100はISO 45001(JIS Q 45001)と一体で運用するための規格で
あることから、JIS Q 45100単独での認証取得は考えられていません。
JIS Q 45001を既に運用している組織がJIS Q 45100認証をめざしても良いし、
JIS Q 45001とJIS Q 45100の2つの認証を同時にめざしても良いことに
なっています。
JIS Q 45001の国際通用性を担保しつつ、労働災害防止に効果を上げてきた
日本独自の安全衛生活動を含むJIS Q 45100に一体で取組むことにより、
労働災害の減少、安全衛生水準の更なる向上を図ることが期待されます。
■□■ JIS Q 45100の解説 ■□■
以下に意見公告で公表されたJIS Q 45100を【】にサマリーし、それに
対する私の解説を≪≫に記します。
【序文】
ISO 45001:2018 の一致規格であるJIS Q 45001:2018 の要求事項には,
厚生労働省の“労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針”で
求められている,安全衛生活動などが明示的には含まれていない。
JIS Q 45001:2018 と一体で運用することによって,働く人の労働災害
防止及び健康確保のために実効ある労働安全衛生マネジメントシステム
を構築することを目的としている。
≪解説≫
JIS Q 45100はJIS Q 45001と一体で運用される規格であることから、
JIS Q 45001の要求事項に加筆する表記となっています。そのため、
JIS Q 45100としての追加要求事項がある場合は、まずJIS Q 45001本文が
引用されており、その後にJIS Q 45100の要求事項が加筆されています。
ただ、全く同じ場合は、【JIS Q 45001:2018 の ○○ を適用する】と
記載されています。
用語の定義はISO 45001と同じでJIS Q 451001独自に定義された用語は
ありません。
【適用範囲】
JIS Q 45001:2018 の要求事項に加えて,より具体的で詳細な追加要求事項
について規定する。
≪解説≫
なし
【引用規格】
JIS Q 45001:2018 労働安全衛生マネジメントシステム-要求事項及び利用の手引
≪解説≫
なし
【用語及び定義】
JIS Q 45001:2018による。
≪解説≫
なし
【箇条4 組織の状況】
JIS Q 45001:2018 の箇条4 を適用する。
≪解説≫
”組織はOH&SMSの構築に当たって、”労働安全衛生マネジメントシステムの
意図した成果”を決めることがJIS Q 45001に要求されています。
この、”労働安全衛生マネジメントシステムの意図した成果” は、組織に
よって異なります。
序文「0.2労働安全衛生マネジメントシステムの狙い」の中に示されている
ように、「働く人の負傷及び疾病を防止すること,及び安全で健康的な職場を
提供すること」が規格の意図するところです。
また、JIS Q 45001箇条1適用範囲には、次のようにも記述されています。
「この規格は,組織が労働安全衛生マネジメントシステムの意図した成果を
達成するために役立つ。労働安全衛生マネジメントシステムの意図した成果は,
組織の労働安全衛生方針に整合して,次の事項を含む。
a) 労働安全衛生パフォーマンスの継続的な改善
b) 法的要求事項及びその他の要求事項を満たすこと
c) 労働安全衛生目標の達成」
この記述も組織が意図して成果を決める参考になります。
これらJIS Q 45001規格に書かれていることを参考に、組織固有の“意図した成果”
を決め、労働安全衛生方針、労働安全衛生目標に反映させると良いでしょう。