品質不祥事に思うー標準化について4 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.175 ■□■    
*** 品質不祥事に思うー標準化について4 ***
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どんなものも時間の経過とともに朽ちていくと言います。
権力をはじめ、組織のガバナンス、コントロールなどは時間の経過とともに
必ず劣化していきます。
昨今の名だたる大手企業によるデータ改ざんなどの品質不祥事もそのような
劣化が多くの組織で起きていたのでしょう。

しかし、この流れは早く止めなければなりません。
もう一度品質保証、品質管理についての基本に立ち返りたく、最初は標準化
ということについて考えたいと思います。

今回はあるBメーカーの例で、標準を守ってルールどおり業務を遂行することを
考えたいと思います。

■□■ 標準類を読み風土を保つ ■□■

組織が比較的新しいうちは、トップのリーダーシップのもと「決められたことは
必ず守る」ことが徹底されていますが、年月を経るにつれて徐々に徹底は風化
していきます。10年、20年経ち、人が変り、製品が変り、設備が変っていくと、
いつの間にか「決めたことを守る」ことが保てなくなります。

組織風土の劣化と一口でいうのは簡単ですが、その原因はいろいろ多岐にわたり
ます。もっとも本質的な原因を上げるとすれば、「慣れ」に伴う「慢心」であると
思います。慢心しないようにする為には、繰り返し教育するしかありません。

次の例は、Bメーカーの従業員が入社してから退社するまで、いつ「標準書」を
読むべきかを規定した例です。

・入社時、新人教育の中で、組織全体の理解のため
・配属時、OJT指導の中で、自分の業務理解のため
・業務遂行時、正しい業務実施のため
・問題発生時、部署内、部署間で問題解決のため
・昇格時、責任権限の確認、正しい業務実施のため
・手順書変更時、最新の状態の維持
・内部監査時、監査員として監査実施のため
・内部監査時、被監査者として事前準備のため

■□■ 標準を実行する活動 ■□■

標準通り実行するには、標準通りに仕事をしたことを記録に残るようにする
などの工夫が必要になります。
Bメーカーでは、工夫の一つとして「QC工程表」を作成しています。

QC工程表は、製造・サービスのプロセスを明確にし、そのプロセスを標準化
していくことにより作成しますが、通常次のような手順で作成します。

1.工程フローチャートの作成
2.管理特性の決定
3.特性要因図の作成
4.工程に関係する人員、組織とその業務内容
5.前後工程との関係の明確化
6.工程に関係する技術標準、作業標準の整備
7.QC工程表の作成

QC工程表作成には、従来からあるいろいろな技術的な実績、新たに必要となる
工程解析の結果等が活用されます。

1の工程フローチャートの作成では、例えばハードな物の製造に当たっては、
原料、材料、副原料、部品、工程中の半製品、製品の流れを示す他に、工程中の
管理特性、測定個所、検査個所等を記すとよいでしょう。

サービス提供でも考え方はまったく同じです。
例えば、教育訓練サービスでは、教材、講師、設備、音響、映像、食事提供の流れを
示す他に、教育訓練中の管理特性、モニタリングタイミング等を記すとよいでしょう。

■□■ QC工程表の作成と記録 ■□■

QC工程表は、1の工程フローチャートを根幹として作成されますが、製品・サービス品質
が設計仕様に適合しているかを確認するために、材料・部品の供給から完成品として出荷
されるまでのすべての工程を図示し、各工程の管理項目、管理方法等を一目瞭然にわかる
ように一覧表に表現します。

QC工程表に盛り込まれるべき主な項目は、次のようなものです。

1.工程フローチャート
2.部品名
3.管理項目
4.管理水準
5.管理帳票(管理図、チェックシートなど)
6.データの採取や記録採取や記録担当者
7.データサンプリング方法
8.設備や測定治具
9.管理状態の判定方法
10.異常時の処置ルール、処置責任者

そして肝心なことは、「行ったことを記録する」仕組みを入れ込んでおくことです。
QC工程表に記録欄を作り実施した結果を記録するようにします。