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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.198 ■□■
*** 品質不祥事に思う ― 再発防止3 ***
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再発防止策を取ったなら、それを日常の活動に定着させなければなりません。
日常管理は、日本で1960~1985 年頃に研究、確立された考え方、方法です。
日常管理は「維持のための活動(現在のやり方を変えない)」をその範囲と
捉えるべきか、「改善活動(やり方を変える)」まで含めるのかが議論され
ましたが、現在では、維持と改善活動の双方を含めて日常管理とする考え方が
定着しています。
■□■ 異常の管理 ■□■
日常管理で主に対象とすべきものは「異常」です。プロセスの結果は様々な
原因によって変動しますが、原因の中には、比較的重要度が低く、技術的あるいは
経済的に突き止めて取り除くことが困難でまた意味のない原因も少なくありません。
これらは、正しい作業標準書を適切に使い、しかも材料や機械に異常がないにも
かかわらず製品の品質等の結果にばらつきを与える原因であり、「偶然原因」、
避けられない原因といわれます。
偶然原因によるバラつきは、現在の技術では押さえられない、科学的に無数にある
原因によるバラつきであり、作業標準や作業上の指図では容認すべきものです。
他方、プロセスの結果に影響を与える原因の中には、作業標準を守らなかった、
材料が変わった、機械の性能が低下したなど、安定した品質を確保する上で
容認してはならないものもあり、「異常原因」、避けられる原因といわれるものが
あります。
このような原因に対しては、ただちにプロセスを調査しその異常原因を取り除く
とともに、再発防止に努めなければなりません。
このことは製造部門だけでなく、管理スタッフ部門でも全く同じです。
■□■ 異常と不良(不適合)は異なる ■□■
異常と不良とは異なります。
不良は結果が顧客規格に適合していないことです。
これに対して、異常は通常の状態から外れている状態です。
異常と不良の関係には、次の2つの状況があり得ます。
1) 異常ではないが、不良である。すなわち、通常の状態であるが、
顧客規格に適合していない。
通常であるが不良である、とは一見ビジネス上ありえないと思えますが、
工程能力が不足している場合にあり得ます。
2) 異常であるが、不良ではない。すなわち、通常の状態から外れているが、
顧客規格には適合している。
工程能力が十分にあり、余裕がある場合に見られます。
などのケースがあることに注意すべきです。
日常管理では、ケース2) についても確実な原因追及を行い、再発防止を行う
ことが必要です。
なお、ケース1) については、日常管理としてではなく、改善活動として
取り組むのがよいでしょう。改善されるまでは全数検査、管理部門では
全数チェックをしなければなりません。
■□■ 日常管理の狙い ■□■
日常管理は、方針管理ではカバーできない通常の業務について組織的な
取り組みを行うための仕組みであり、各々の部門が各々の役割を確実に
果たすことができるようにすることが狙いです。
方針管理のような明確な部門間調整は不要です。
各々の部門がその職務を明確にした上で、管理項目と管理水準を設定し、
検出した異常について確実な原因追求と対策を実施する、ことが基本です。
日常管理の進め方はSDCAのサイクルに沿ったものであり、現行の技術レベルで
最も適切と考えられるプロセス標準(Standard)に沿って、仕事を行い、
通常と異なったこと(異常)を見つけてその原因を調べ、プロセスの標準を追加、
修正するという考え方です。
■□■ 工程・業務異常報告書 ■□■
検出した異常については、その原因を追求し、工程・業務に対する適切な処置を取る
必要があります。
工程・業務異常報告書は、検出した工程・業務異常に対する原因の追求、対策を
組織的に実施する上で重要です。
工程・業務異常報告書の狙いは次の通りです。
・異常を確実に伝達する
・処置済みと未処置を区別する
・再発防止処置の内容を記録する
・関係他部門に徹底する
・組織の知財の基礎資料とする