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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.204 ■□■
*** JIS法改正に向けて ― 標準化戦略6 ***
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今日から新年度がスタートです。これからも「つなげるツボ」を
よろしくお願いいたします。
引き続きJIS法改正に向けてのお話です。
去る3月25日、日本規格協会からJSA-S(ジェイサス)規格が
2件発行されました。
JSA-S1号は、JSA-S 1001(ヒューマンリソースマネジメント
-従業員満足- 組織における行動規範のための指針)です。
2号はJSA-S 1202(シェアリングエコノミー-オンラインプラット
フォームの運用-仕様)です。
■□■ 社会的影響と規制 ■□■
シェアリングエコノミーは、モノのシェア、空間のシェア、
移動のシェア、スキルのシェアそしてお金のシェアなどが
具体的に推進されています。これらはいずれもサービス業が
手掛けている事業ですが、いろいろな規制がかかっています。
サービスはその機能が停止すると社会的に大きな問題になる
からです。
例えば、電気、ガス、交通、銀行などのサービスが止まると
その影響は大変大きなものになるでしょう。
しかし、タクシーを共同利用してコストをシェアしようとする
ことまで規制が必要であるかは議論の余地があると思います。
もしかすると、消費者を守るための規制が、いつしか業界を守る
規制、新規事業者の参入を防ぐ規制になっているかもしれません。
JSA-Sは、従来の制度にとらわれない規格開発ニーズが高まって
いることから、多様なステークホルダーのニーズに迅速かつ柔軟に
応えるため、企業等の依頼を受け、透明性・公平性及び客観性を
確保した上で民間規格を発行する制度です。
■□■ 業者が自ら決める ■□■
政府は内閣官房が主導して、業法に縛られない業界独自の
「モデルガイドライン」の策定を推進しています。
2016年7月より、内閣官房IT 総合戦略室長(政府CIO)の下に、
シェアリング エコノミー検討会議が開催されています。
同検討会議では、インターネット上でマッチング機能を提供する
事業者(以下、シェア事業 者)とシェアリングエコノミーの
活用に取り組んでいる自治体へのヒアリング結果や、会議の構成員や
関係省庁から提供されたさまざまな情報を基に、活発な議論が
なされています。
例えば、「シェア事業者が担う責任」についての議論では、サービスの
提供者と利用者の行為の責任をシェア事業者がどこまで負うかが論点となり、
消費者側からは「シェア事業者に責任を持ってほしい」という声が
上がる一方、事業者側からは「シェア事業者の責任について、一定の
限度を示すことが必要ではないか」等、さまざまな意見が出ています。
■□■ シェアリングエコノミー協会 ■□■
2016年1月、日本国内でのシェアリングエコノミーの普及、業界の
健全な発展を目的に設立されました。
2016年10月末現在、会員数125社、安全安心にシェアサービスが
使われるためのガイドライン作成のほか、事業者間の交流や勉強会なども
主催し、シェアリングエコノミー推進のための活動を続けています。
活用されていないヒト・モノ・カネを第三者がマッチングするビジネスは、
従来から存在していましたが、スマートフォンやSNSの普及により、
「シェアリングエコノミー」と呼ばれるサービスが進展しつつあります。
シェアリングエコノミーは、民泊やライドシェアが有名ですが、
その他にも駐車場や会議室などのスペースシェア、ITスキルや家事・育児
などの労働力のシェアなど、さまざまな分野で新たなサービスが
登場してきています。
■□■ モデルガイドライン ■□■
このようなシェアサービスは、十分に活用されていない資産や個人のスキル、
隙間の時間などの有効活用を促し、社会全体の生産性向上につながるものですが、
一方で安全、安心などについて、シェア事業者に責任を持ってほしいという声も
多くあります。
シェアリングエコノミーは、従来型のサービスモデルとは異なる特性を持った
黎明期にあるサービスモデルであり、健全な発展に向けて整理すべき課題が
多いところから、次の基本理念に合致したところにシェアリングエコノミー認証を
与える制度が動き出しています。
・安全であること
・信頼、信用は見える化できること
・責任分担の明確化により価値共創をすること
・持続可能性が向上すること
■□■ 国際標準化 ■□■
認証制度は持続性がなければなりません。認証の品質・信頼性は
手間・コストと比例します。モデルガイドラインに沿った認証基準が
必要となります。
国際的には、フランス、カナダが中心となり、シェアリングエコノミーの
国際標準が必要であるという声が高まり、2017年にはIWA27:2017
(Guiding principles and framework for the sharing economy)が
成立しました。IWA(International Workshop Agreement)が成立すると、
次には新しい技術委員会(TC)が設立されることが多くあります。
日本は2018年BSIと連携してPAS(Publicity Available Specification)を
作成し、ISO標準を策定する新TC設立を提案しました。
2019年1月にTC324 Sharing Economy 設立が承認されました。
日本が議長国になり、Pメンバーとして11か国が集まっています。
6月には第一回の総会が日本で開催される見込みです。