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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.210 ■□■
*** 標準化―ISO 9001-4 ***
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ISO 9001箇条8.2は組織の受注プロセスへ適用させます。
箇条8.3は組織の設計プロセス、箇条8.4は組織の購買プロセス、
箇条8.5は組織の製造プロセスというようにISO 9001:2015 の
箇条8は適用する組織のプロセスが明確であり、ほぼ総ての組織は
この規格要求事項の適用について問題と感じることはないでしょう。
しかし、箇条9は組織のどのプロセスへ適用するのでしょうか。
また、箇条7についてはどうでしょうか。
■□■ 箇条9の適用可能性 ■□■
前号で述べたことは、箇条4.3の適用可能性についてでしたが、
上の記述、すなわち箇条9に関しての私の考え方を紹介したいと
思います。
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9.1 監視,測定,分析及び評価
9.1.1 一般
組織は,次の事項を決定しなければならない。
a) 監視及び測定が必要な対象
b) 妥当な結果を確実にするために必要な,監視,測定,分析及び評価の方法
c) 監視及び測定の実施時期
d) 監視及び測定の結果の,分析及び評価の時期
組織は,品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性を
評価しなければならない。組織は,この結果の証拠として,適切な
文書化した情報を保持しなければならない。
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これが箇条9.1.1に書かれていることです。
■□■ 箇条9の適用 ■□■
箇条4.3に書かれている適用可能性の適用として、箇条9を取り上げて
いますが、箇条8の適用と異なり、組織のどのプロセスにこの箇条9の
要求を適用させるかは組織の考えによります。
マネジメントシステムは、組織経営のいろいろな要素を結び付け、
目的を達成するために組織が一体となって活動するための仕組みです。
組織は,a) 監視及び測定が必要な対象を決定しなければならない、
と要求していますが、組織の対象となる要素すべてを監視、測定することは
物理的、経済的にできません。
■□■ 必要な対象となる候補は何か 1 ■□■
組織には多くの監視、測定したい対象があります。次の例以外にも監視、
測定の対象になりうるものがあると思います。
・製品
-受入製品
-工程内製品
-最終製品
-手直し製品
-出荷前製品
・プロセス
-受注プロセス
-企画プロセス
-設計プロセス
-購買プロセス
-工程設計プロセス
-製造プロセス
-サービス提供プロセス
-検査プロセス
-搬送プロセス
-アフタサービスプロセス など
■□■ 必要な対象となる候補は何か 2 ■□■
1で掲げたものは、お客様に提供する製品に関係するものばかりです。
すなわち、製品そのもの、そして製品に付加価値をつけるプロセス
(主要プロセス)についてです。
その他に、監視、測定の対象になりうるものには次のものがあります。
-市場クレーム
-品質コスト
-顧客満足度
-受注率
-失注率
-力量
-従業員モラール
-設備補修費
-点検履行度
-文書レビュー度
-記録保管数
-在庫回転率
-棚卸数 など
■□■ 必要な対象となる候補は何か 3 ■□■
2で掲げたものは、主要プロセスをサポートする、あるいは経営の
指標となるようなプロセス(支援プロセス)に関するものです。
この他に、経営に関するプロセスの監視、測定についても候補となる
対象がありますが、次回に述べさせていただきます。