統合化―ISO 9001-4 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.219 ■□■    
*** 統合化―ISO 9001-4 ***
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組織で人々が意識していることは、自分の属している係、課、部などの
動きでしょう。
前回のつなげるツボは、プロセスと部門の違いについて説明をしましたが、
組織内でプロセスを意識する場面は日頃あまりないと思います。
プロセスを意識せざるを得ない典型的な場面は、顧客からクレームを受けた時
でしょう。

■□■ 事業プロセスへの統合 ■□■

このテーマ「統合化」は、ISO 9001:2015箇条5.1c)で要求されている
「組織の事業プロセスにQMS要求事項を統合する」ということに関してです。
ISO 9001:2015の要求事項は規格を読めば明確ですが、統合する相手の
「組織の事業プロセス」は、組織によっては明確であるようで明確でない場合が
多いようです。

■□■ 組織のプロセス ■□■

前回は、組織のプロセスを次のように考えてみました。

a)(市場)調査
b) 注文・契約(B to B)、商品企画(B to C)
c) 設計
d) 調達
e) 準備
f) 実現(製造、サービス提供)
g) 検査
h) 出荷、引渡し
i) アフターサービス

■□■ 組織の3つの分野 ■□■

上のa)調査~i)アフターサービスは、実は事業プロセスの一部ではありますが、
総てではありません。
組織には3つの分野にそれぞれプロセスがあります。3つの分野とは;

1.主要分野
2.支援分野
3.経営分野

です。
既に述べた、「1.主要分野のプロセスを運用する部門」は一般に
次のようなものだと思います。

a)営業部
b)企画部
c)設計部
d)購買部
e)技術部
f)製造部・サービス部
g)品証部
h)輸送部
i)営業部

■□■ 支援分野のプロセスと部門 ■□■

では、「2.支援分野のプロセスと部門」はどんなものになるでしょうか。
これも一般的に述べますと次のようになります。

a)人材採用プロセス
b)人材配置 〃
c)組織図管理 〃
d)人材評価 〃
e)教育訓練 〃
f)労務管理 〃
g)福利厚生 〃
h)安全管理 〃
i)環境管理 〃
j)内部監査 〃
k)顧客管理 〃
l)経理、財務 〃
m)建物、設備管理 〃
n)IT管理 〃
o)輸送管理 〃
p)地域社会コミュニケーション 〃

などです。
これらのプロセスを担当する部門は、人事、総務、経理、企画、
品証、施設、IT室、ロジステック部門などになると思います。
これらの部門は、まとめて本社部門、管理部門、オーバーヘッド、
コストセンターなどと呼ばれ、できるだけ小さい本社になるように
組織作りが行われます。
これらのプロセスとQMS(ISO 9001:2015)との関係は、箇条7が
該当します。
プロセスによってはQMSと関係ないものも出てくるでしょう。

■□■ 経営分野のプロセスと部門 ■□■

「3.経営分野のプロセスと部門」はどんなものになるでしょうか。
これも一般的に述べますと次のようになります。

a)ビジョン、ミッションの作定とフォローのプロセス
b)中期経営計画作成とフォロー 〃
c)事業計画作成とフォロー 〃
d)組織構造の決定と組織変更 〃
e)企業統治 〃
f)開発センター(機能)管理 〃
g)株主管理 〃
h)IR:Investor Relations(投資家向け広報) 〃
i)CSR(企業社会責任) 〃

などです。
担当部門は、経営者、役員になります(部門という表現はおかしいかも
しれませんがご了承ください)が、ISO 9001:2015との関係は
箇条4、5、6、9、10あたりになると思います。