ISO 9004:2018持続的成功を達成するための指針-11 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.231 ■□■    
***ISO 9004:2018持続的成功を達成するための指針-11***
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今回はISO 9004 :2018「品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を
達成するための指針」の箇条9「資源のマネジメント」についてお話しします。
ISO 9001:2015では、箇条7支援の中の7.1でいう資源を扱っていますが、
これに関するガイドです。 

■□■ ISO 9004;箇条9 ■□■

箇条9の資源のマネジメント(リソースマネジメント)では、組織の資源に
次のものがあるとしています。

1. 財務資源
2. 人々
3. 組織の知識
4. 技術
5. 設備,施設,エネルギー、ユーティリティなどのインフラストラクチャ
6. 組織のプロセスのための環境
7. 製品及びサービスの提供に必要な材料
8. 情報
9. 子会社,パートナーシップ及び同盟関係組織を含む、外部から提供された資源
10. 天然資源

いずれも組織にとって重要なもので当たり前と言えばそれまでですが、
この箇条では、組織が運用管理すべき資源について個別にその要点を
述べています。
まず1.財務資源ですが、これには組織設立時の資本金、その後の
運営資金などがありますが、9004には格別のガイドはありません。

■□■ 2. 人々について ■□■

1.人々については、箇条9.2.1「一般」から9.2.4「人々の力量」まで
多くを語っています。箇条9.2.3「人々への権限付与」において、
人を奮い立たせるための権限の付与についてガイドしています。
組織全体にわたって,権限の付与を検討し、どこまでを個人に委ねるかは
人の能力を引き出すうえで重要なことです。
人々が顧客に価値を提供するために、自らの作業に関連した決定を
自ら行うことができ、必要な情報,他部門への要請、必要資材の購入
などの権限及び自由度を付与されることは素晴らしいことです。

当然ですが権限付与には責任が付きまといます。
人々は、権限付与と責任発生とが対になっている構造をよく理解することで、
仕事への動機付けが強化されます。

1. 明確な目標を定め,権限及び責任を委任し,人々が自らの作業
及び意思決定を管理する作業環境を生み出す。
2. 人々の業績についての実績を客観的に公平に評価するシステムを
導入する。
3. 人々がその主導権により行動するようになるためのインセンティブを
提供するとともに,優れたパフォーマンスを表彰する制度を導入する。

■□■ 2. 人々の力量について ■□■

なお2.人々については、箇条9.2.4「人々の力量」で次のようなステップに
従うことが望ましいとしています。
そのプロセスは,

1. 組織の個性(identity : 使命,ビジョン,価値基準及び文化)、戦略,
方針及び目標に従って,組織が必要とする人の力量を明確にし,分析する。
2. 組織が必要とする人の力量と現在の力量(組織外も含めて)のギャップを
明確にする。また、現在の力量と今後必要となり得る力量のギャップも明確にする。
3. ギャップとして明確になった力量を得るための処置を実施する。
4. 得られた力量を維持する。
5. 必要な力量が得られていることを確認し、講じた処置の有効性をレビューし,評価する。

■□■ 3. 組織の知識 ■□■

3.組織の知識については、箇条9.3「組織の知識」において、知的財産,
経験から得た知識,失敗から学んだ教訓及び成功プロジェクト,文書化
していないノウハウなど組織に固有なものを言うとしています。
これらは積極的に獲得すると同時に、保有したものを散逸しないように
管理し、活用することが重要です。組織は次の事を行うことがよいとしています。

1.知識を知的財産として持続的成功に不可欠な要素として運用管理する。
2.組織の中長期戦略の裏付けとして活用する。
3.組織の知識の特定,保護、維持、検索の方法を確立する。