内部診断と内部監査3 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.257 ■□■
*** 内部診断と内部監査3 ***
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新型コロナウイルス終息後はどんな変化が世界的に起きるのか
ある程度予測できます。その予測も含めてこれからの世界の変化を
注視していかなければならないのですが、そうした変化に備える
意味でもこの機会に自組織の内部診断(内部監査)を行ったら
どうでしょうか。

前回は内部診断の対象を大骨Aと小骨Bの2グループに分けて
例をお示ししました。
今回からは診断対象の一つずつについてお話しをしていきたいと
思います。

■□■ 経営分野-中期経営計画 ■□■

コロナ終息後の世界はある程度予測ができると申しましたが、
予測の一つがアナログからデジタルへの変換です(DX)。
日本ではデジタル化が遅れていると言われてきましたが、コロナ騒ぎで
一挙にテレワークのニーズが生まれました。

いま家電量販店にいってもテレワークに用いるヘッドセットは
売れ切れ続出で容易に手に入りません。
中期経営計画にDXがどのように取り上げられているか確認しましょう。
2年くらい前から経産省はDX戦略を盛んに言うようになりました。
2025年にはDXの崖がありこれを乗り越えられない企業は崖から
落ちるというような記事もあちこちで見かけます。

DXとはDigital Transformation の略でアナログをデジタル化
することを意味し、内部DXと外部DXがあると説明されています。

■□■ 内部DX ■□■

組織内で行われている業務をデジタル化することを総称して
内部DXと言います。ITを活用した事業運営と言い換えてもよいでしょう。

在宅勤務で一挙に浮上してきたテレワークは内部DXの代表選手と
言えるかもしれません。従来会議室に一堂に会して行っていた
社内会議を遠隔地域も含めてテレビ会議で行うようにしたというのも
内部DXの例になります。大手企業では経営の基幹システムとして
クラウドサーバーを活用した業務運営システムを大規模投資により
実現していますが、これなどもDXの例として上げてよいでしょう。

最近、中小企業でも全員がPCを与えられ、ワード、エクセルなどを
活用して業務を推進するようになりました。
これも内部DXと言ってよいと思います。工場ではIoTの一環として、
製造ラインを画像認識、自動計測(自動検査)、CADCAMなどの
採用により生産性向上を進めていますが、これらも内部DXの例となります。

■□■ 外部DX ■□■

内部に対して外部とのやり取りにITを活用することを外部DXと言います。
外部DXでまず考えられるのは顧客との関係にITを導入することでしょう。
最近ではeコマースとして様々なところで電子商取引が行われています。
ネットショップやオンラインオークションなどがそうです。

銀行も通帳の発行を止めオンライン振込などを推奨するようになりました。
証券会社では10年くらい前からオンラインで株式の売買ができるように
しています。さらに国、市町村役場、税務署なども積極的に各種届け出、
申告書にオンライン手続きを採用しています。

中小企業ではまだまだですが、消費者から直接自社のホームページに
購入の申し込みを受ける、あるいは関係企業にオンラインで製品・サービスを
発注するなど多くの業務を電子化、即ちデジタル化する余地があります。

■□■ 外部DXと内部DXの接続 ■□■

DX戦略で重要なことは、外部DXと内部DXを接続することです。
例えば、顧客がホームページから製品・サービスを申し込んできた情報が
内部DXにつながり、組織内でインプットされてきたデジタル情報を
そのまま内部の業務に使えるようにすることです。

外部DXと内部DXがつながっていないと、内部ではせっかくインプットされた
外部デジタル情報をアナログ化し再度デジタル化するという非効率なことが
起きてしまいます。

■□■ 中期経営計画の診断 ■□■

このようにコロナ問題沈静後すなわちウイルス克服後に訪れる世界には
多くの変化が予測されます。この機に中期経営計画を以下のような
ポイントから診断することをお勧めします。

1.  中期経営計画は、新型コロナウイルス問題沈静後の世界変化を
捉えたものになっているか。
2.  中期経営計画は、その変化に対してどのような機会があり、
どのようなリスクがあるのか予測しているか。
3.  中期経営計画は、予測される変化の不確実性に対して複数の
起こり得るシナリオを描いているか。
4.  現在の経営資源(技術、人材、財務など)の実態を明らかにし、
予測されるシナリオに必要となる経営資源とのGapは分析されているか。
5.  組織のありたい姿を実現させるための新事業開発、技術開発、ITシステム、
人材育成などは、中期経営計画に織り込まれているか。