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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.279 ■□■
*** 総務プロセス-内部診断と内部監査22 ***
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新型コロナウイルス終息後の世界について、予測も含めてこれ
からの変化を注視していく必要があります。そうした変化に備える
意味でもこの機会に自組織の内部診断(内部監査)を行ったらどう
でしょうか。前回は会計プロセスについてお話をしましたが、今回
は総務プロセスについてお話しします。
■□■ 総務プロセス ■□■
どこのプロセスにも属さないで、組織に必要なことを遂行するのが、
総務プロセスであるとよく言われます。
管理部門の代表的な仕事が「企画」、「人事」、「経理」そして最近
では「情報」と呼ばれるものですが、組織の規模によってはこれら
すべての仕事を総務部門で行っている場合もあります。
総務プロセスに属しそうな仕事は、一般に以下のようなものが考え
られます。
・社会保険業務
・入退社管理
・福利厚生
・健康診断
・労働安全衛生
・防災訓練
・環境保全
・ホームページ管理
・秘書業務
・株主総会管理
・株式管理
・来客対応
・契約書管理
・社印管理
・慶弔業務
・備品、消耗品管理
・会社行事、イベント業務
・社有車管理
・営繕
・設備保全
・社内・社外広報
・官公庁との渉外
・地域との渉外
・社会貢献活動
・業務委託管理
このように、ざーっと考えただけでいろいろな仕事が浮かんできます。
内部診断の最初のポイントは上に列挙したような仕事が組織に必要で
あるか、列挙した以外の仕事で必要なものはどんな仕事か、必要である
と判断した仕事はどの部門で行われているのか、の現状確認です。
■□■ 仕事と部門 ■□■
ここで、仕事と部門の関係について考えてみたいと思います。仕事と
部門の関係は、目的と手段に置き換えることが出来ます。即ち仕事には
必ず目的があります。何のためにその仕事をやるのかを忘れていては
効果的な仕事をしたことになりません。効果的な仕事をするためには
目的を忘れてはなりませんが、仕事を効果的に、効率的に行うには
いろいろな工夫が必要です。この工夫の一つに仕事の専門性ごとに
人々のグループ(部門)を作るというものがあります。仕事には専門
性が必要になりますが、この専門性は組織の規模が大きくなればなる
程、幅と深さが大きくなっていきます。その結果、仕事の専門性ごと
にグループを作ることが仕事の目的を達成させる上で得策であるとい
う考えが出てきます。
いままで仕事と呼んできましたが、ISO ではプロセスと呼んでいます。
附属書SLではプロセスを「インプットをアウトプットに変換する、
相互に関連する又は相互に作用する一連の活動」と定義をしています。
■□■ 仕事へのインプットとアウトプット ■□■
前々節で例として上げた多くの仕事の最初の社会保険業務につ
いてインプットとアウトプットを考えてみます。
【社会保険業務】へのインプット
・該当する従業員の属性
・健康保険、雇用保険の制度
・会社の社会保険の栞
【社会保険業務】からのアウトプット
・社会保険事務所からの通知
・従業員健康保険証
・社会保険手続き記録
一つ一つの仕事(上の例で25種類)にそれぞれ固有のインプットと
アウトプットがありますが、それぞれのインプットとアウトプットに
ついて次の観点から内部診断をします。
1.インプットとアウトプットの明確化
2.インプットとアウトプットの保管
3.インプットとアウトプットの個人情報管理
4.インプットとアウトプットの保管期限と廃却管理 など
■□■ 仕事の管理状態 ■□■
総務プロセスの仕事の種類は大変に多いので、担当者が変わる可能性
が高いと思います。そこで、内部診断のポイントとして担当者交代
管理が大切になってきます。
前項のインプットとアウトプットを含めて、仕事を適切に後任者に
引き継いでいけるかの視点で内部診断をします。
その時の診断の対象は次のようなものになります。
・分担表
・手順書
・記録
・管理者 など