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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.305 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** ナラティブ内部監査9 ***
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前回ナラティブ内部監査の監査基準としての事業マニュアルの事例
を示しました。事業マニュアルは、ISOの分野固有(品質、安全衛
生、環境、情報セキュリティなど)の要求事項を参考にしながら自
分たちの事業活動、すなわち事業プロセスにビルトイン(統合)し
た状態を書き表したものであり、組織はそれに沿って全員参加によ
り組織の各種パフォーマンスを上げることを目標にマネジメントシ
ステムを運用することが肝になります。
ナラティブ内部監査はこの組織固有のマネジメントシステムが事業
マニュアルどおりに運用されているかを確認し、改善することを内
部監査員、被監査者が共同で実施することを目的としています。
■□■ 事業マニュアルの下位標準書 ■□■
事業マニュアルは事業推進の方針書ですので、ナラティブ内部監査
の基準として活用するには打って付けな文書です。しかし、ナラテ
ィブ内部監査は業務改善を目的としますので、業務実施現場の標準
書が必要になります。現場の標準書にもメッシュの細かさがいろい
ろあります。ナラティブ内部監査の実践にはまず業務標準書(2次
文書)が必要です。必要に応じてさらに業務実施の手順を規定した
手順書レベル(3次文書)の文書も必要になります。
ここでいう、2次文書とか3次文書とかの表現は一般的な呼び方で
、2次と3次を分ける基準が明確にあるわけではありません。組織
によって業務を規定する細かさは組織が固有に決めてよいと思いま
す。
以下にナラティブ株式会社の2次文書一覧の例を示します。
1 | 企画室 | 組織標準 |
分課分掌標準 | ||
経営会議運営標準 | ||
市場クレーム処理標準 | ||
2 | 総務部 | SDGs活動標準 |
文書管理標準 | ||
業務改善提案制度標準 | ||
環境保全委員会運営標準 | ||
廃棄物適正管理標準 | ||
環境影響評価標準 | ||
安全衛生委員会運営標準 | ||
安全衛生計画標準 | ||
無災害表彰制度標準 | ||
情報セキュリティ委員会運営標準 | ||
リスクアセスメント標準 | ||
情報セキュリティ管理運用標準 | ||
3 | 人事部 | 人事適性評価標準 |
人事考課標準 | ||
人事組織変更標準 | ||
教育訓練標準 | ||
4 | 経理部 | 経理会計標準 |
5 | 開発部 | 市場調査標準 |
6 | 営業部 | 契約管理標準 |
注文書管理標準 | ||
仕様検討・制定標準 | ||
サービス・パーツ管理標準 | ||
サービス標準 | ||
7 | 生産管理部 | 作業指示書制定標準 |
工程異常処理標準 | ||
4M変動管理標準 | ||
標準書制定標準 | ||
製品・部品保管標準 | ||
特殊工程管理標準 | ||
生産管理コンピュータ管理標準 | ||
製品・部品取扱標準 | ||
製品・部品梱包標準 | ||
検査規格制定標準 | ||
ロット管理標準 | ||
物品識別管理標準 | ||
8 | 購買部 | 購買要求書発行標準 |
外注契約書標準 | ||
取引先管理標準 | ||
取引先評価標準 | ||
購入物品特別採用処理標準 | ||
製品・部品コード管理標準 | ||
OEM客先支給品管理標準 | ||
外注品質監査標準 | ||
9 | 設計部 | 設計業務標準 |
製品企画標準 | 設計試作標準 | 設計審査標準 | 加工図面管理標準 | 量産試作標準 | 量産認定標準 | 設計通知管理標準 |
10 | 技術部 | 技術通知管理標準 |
機械設備仕様書標準 | ||
11 | 品質保証部 | 事業マニュアルアクセス標準 |
事業マニュアル改訂標準 | ||
事業マネジメントシステム体系標準 | ||
標準書制定標準 | ||
品質記録管理標準 | ||
設計計画標準 | ||
部品受入検査標準 | ||
工程内検査標準 | ||
製品出荷検査標準 | ||
品質関連文書管理標準 | ||
計測器類選定標準 | ||
検査規格制定標準 | ||
QC工程表標準 | ||
限度見本制定標準 | ||
内部監査標準 | ||
製品監査標準 | ||
計測器類管理標準 | ||
計測器類校正標準 | ||
開発計測器管理標準 | ||
製品特別採用処理標準 | ||
重要品質問題処理標準 | ||
QCサークル活動推進標準 | ||
試作評価標準 | ||
12 | 製造部 | 工程品質管理標準 |
機械設備日常点検標準 |
このように事業マニュアルの各項目についてどんな内容のことを、
どんな方法で実行するのかが書かれた「〇〇標準」を一覧として添
付します。事業マニュアルを作成するときに新たに「〇〇標準」を
作ることは原則ありません。現在使用している、あるいは保有して
いる標準を一覧にすることがポイントになります。ナラティブ株式
会社の例では2次文書の数は100種を超えますが、会社の規模によ
ってはもっと多くの標準書があると思います。