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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.312 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** ナラティブ内部監査16 ***
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ナラティブ内部監査実践のための5ステップについて話を進め
ています。
・第1ステップ : 今行っている内部監査をレビューする。
・第2ステップ : どのような内部監査を行いたいか、行うべ
きかを組織内でコンセンサスを得る。
・第3ステップ : 内部監査員、被監査者の共同作業の基盤を
作る。
・第4ステップ : 発見された課題(不適合、観察事項、気づ
き事項)などを問題解決する。
・第5ステップ : 問題解決したことを水平展開、歯止めして
改善する。さらに、改善したことを革新へ
のインプットにする。
前回、第2ステップについて話をさせていただきました。
■□■第3ステップ:内部監査員、被監査者の共同作業
の基盤を作る■□■
ナラティブ内部監査実践のための5ステップの3番目です。テク
ノファではキャリアコンサルタント養成講座を16年間開催して
います。このキャリアコンサルタント養成講座には内部監査員と
被監査者との間の共同作業基盤を作るヒントがたくさん含まれて
います。
1.コミュニケーション
2.自己理解
3.他者理解
4.よく聴く
5.よく伝える(アサーション)
6.個人と組織の共生
1. コミュニケーションから説明しようと思いましたが、いざ書
こうと思いましたら、私たちはどうして今の組織で働いているの
か、という根源的な問題に引っ掛かりました。
今の組織で働いているというのは一つの結果です。品質管理的に
言うと結果には要因があります。なぜ、今の組織で働いているの
かを考えだすととてつもなく多くの要因が出てくる人もいれば、
あまり要因というほどのものはないという人もいるでしょう。
「内部監査員、被監査者の共同作業の基盤を作る」というお題の
副題に1~6を掲げましたが、そんなことから「6.個人と組織
の共生」から話を進めたいと思うようになりました。
■□■ 個人が個立する ■□■
およそ20年も前の話です。大学時代の友人の紹介で出会った
Y先生から「個立」という言葉を教えていただきました。テクノ
ファでキャリアカウンセリングの養成講座を行いたいと思ってい
た時に出会った指導者の方からです。新しい養成講座にチャレン
ジしようと思ったのは、ISO9001の養成講座には「心が入ってい
ない」と感じたからです。品質管理に人の心は無縁だと当時は大
きな誤解をしていたのです(今は大きく自省していますが)。
その時の研究会でY先生が「個立」と板書され、「孤立」じゃあ
りませんよ、と付け加えられました。個人としての精神的自立、
なるほど、これは明快でいいと思いました。 この言葉をISO9001
審査員養成講座の中に持ち込み組織のマネジメントシステム、内
部監査の場に活用させて頂こうと思いました。
組織にいる個人が「個立」する、これは私が25年サラリーマン
生活を送ってきた時からのテーマでした。
■□■ 人間が好き ■□■
自分自身は格別強烈な自我と自立心を持ち合わせているわけでは
ありません。とりわけユニークで多彩な個性に恵まれているとも
思えません。にもかかわらず、組織にいる個人の個立をテーマと
して、ずうっと心に持ち続けてきたのはなぜだろうか、不思議な
気がします。
思うに、私は人間が好きで人間の成長力を信じているためではな
いだろうか、一人ひとりの人間の異なったよさ、一人ひとりが多
様に自己実現を目指す姿に、深い感動を誘われるからだと最近思
い当たるようになりました。であるから、人間がそうなっていな
い状態、つまり、一様に画一的に扱われていたり、画一的に扱わ
れることに甘んじていたりする状態をみると、ひどく残念にとき
にひどく怒りたくなります。
■□■ 事業部長に直訴 ■□■
そんな自分が30年以上も前に当時の事業部長に何かしなければ
いられなくなり、直訴をした事件(私的には事件)がありました。
当時自分はイギリスの子会社で工場長をしていましたが、現地の
人の処遇を巡って事業部長に談判をしたのです。
1987年工場開設の初年度ですが、毎年12月にはクリスマスパー
ティを会社主催で行うことが現地(北イングランド)の風習であ
ると人事部長から言われ、当時の200人従業員とのパーティを実
施しました。
パーティは成功裏に終わりましたが、事後の会計で事件が起こり
ました。
予定をしていた人数の倍の人が参加していて、アルコール、料理
が大幅に追加され、200万円くらいの予算が実際は500万円く
らいかかっていることが判明したのです。
このことがなぜ「個立」に関係してくるのかは次号にお話しさせ
ていただきます。