ナラティブ内部監査21 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.317 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** ナラティブ内部監査21 ***
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組織が人々に積極的に参加してもらうためには、次のことを行うと
良いとISO9000ではガイドしています(箇条2.3.3.4)。
- 人々と貢献の重要性についてコミュニケーションを行う。
- 組織全体で協力を促進する。
- オープンに議論し知識及び経験の共有を促す。
- 人々が躊躇なく率先して行動できるように権限を与える。
- 人々の貢献,学習及び向上を認め,褒める など。

■□■ 人的資源とは何か ■□■
人々は組織にとって何物にも代えがたい存在ですが、附属書SL
箇条7.1資源には「組織は,XXX マネジメントシステムの確立,
実施,維持及び継続的改善に必要な資源を決定し,提供しなけれ
ばならない。」とあります。
そして、資源の例として、Appendix3には、次のものが含まれ得
るとガイドしています。
- 人的資源
- 専門的な技能又は知識
- 組織の知識
- 組織のインフラストラクチャー(すなわち、建物、通信ラ
  イン等)
- 技術
- 財務資源
- 作業環境又はプロセス実施のための環境

■□■ 何ものにも代えがたい存在 ■□■
Appendix3の資源の例を見て、私は少し違和感を覚えてしまいまし
た。人的資源が最初に掲げられているのはいいのですが、その下に
書かれている資源と同列に書かれていることには、工夫がいるので
はないかと感じたのです。どんな工夫があり得るのかには触れませ
んが、人が他の資源と異なることは大変多いのではないかと思いま
す。

例えば、ということで、人が他の資源と異なると思われることを順
不同で上げてみますと、次のような項目が次から次にと上がってき
ます。
1. 人は他の資源を活用、コントロールする。
2. 人には個性がある。
3. 人には自己尊厳がある。
4. 人には感情がある。
5. 人にはバイオリズム(生体諸機能の周期性)がある。
6. 人には欲望がある。-食欲、-睡眠欲、-性欲
7. 人はやりがいを求める。
8. 人は自己実現を求める。
9. 人は自己主張をする。
10. 人には得意なことと、不得意なことがある。
11. 人は一人では生きていけない。
12. 人は人を呼んでくる。
13. 人は人とつながり、仲間を作る。
14. 人は人を成長させる。
15. 人は変化し成長する。
16. 人は忘れる。
17. 人は勘違いする。
18. 人はミスをする。
19. 人は他から認められたい。
20. 人は命令されたくない。
21. 人は服従を嫌う。
22. 人はコミュニケーションが不得意である。
23. 人は人を排除する。人は人を支配する。
24. 人はお金で買えない。
25. 人は流動的である。
26. 人は嫉妬する。
27. 人は継続して動けない/疲れる。
28. 人は要領よく立ち回る(さぼる)。

このように人は他の資源とは全く異なる存在ですが、その点を踏ま
えて「人々が積極的に参加する」状況を作り出すためには、それな
りの工夫と努力が組織には求められます。
「自分を知る」ということのために人材という資源の話をしました
が、ここから見えてくる「人とはなにもの」ということを理解する
が自分を知ることの出発点です。また監査員と被監査者とがそれぞ
れ自分を知っていると「相手のことも知る」ことにつながります。