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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.328■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** ナラティブ内部監査32***
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ナラティブ内部監査の第3ステップ「内部監査員、被監査者の共
同作業の基盤を作る」のお話をしています。共同作業の基盤は両
者の間だけでなく組織全体に構築されるべきものである、という
観点から「個人と組織の共生」ということに話は及んでいます。
個人と組織の共生の話の中で、管理するプロセスには次の3つの
原則があるとお話ししました。
(1)仕事はできるだけ移譲すること
(2)指示系統を明確にすること
(3)管理することには限界があること
管理監督者がこの3つの原則をベースに管理をするには、それな
りの能力が必要になります。
■ マネジメント能力 ■
マネジメントという管理のプロセスを遂行するには、一般に少な
くとも3つの分野の能力が必要と認められていて、それは専門能
力、対人能力そして概念化能力といわれる3つです。
専門的能力とは、特定業務の遂行に必要な知識、方法、技術、器
具を使用する能力で経験、教育、訓練を通して習得しうるもので
す。
対人的能力とは、部下とともに、もしくは部下を通して働く能力
と判断力で、動機づけの心理の理解とリーダーシップの効果的応
用能力をも含みます。
概念化能力とは、組織全体の複雑な構造を理解し、自ら職務活動
が全体活動のどこに、かつ、如何に組み込まれているかを理解す
る能力です。この理解を得ることによって、自分が直接所属する
集団の目標や必要のみならず、全体の組織の目標にむけて行動す
ることが可能になります。
■ 専門的能力 ■
この3つの能力の適正なミックスは、第一線監督職からトップ・
マネジメントへと昇るにつれて異なります。
組織内の管理レベルを、下から上へあがるにつれて、効果的管理
を行うための条件としての専門的能力の重要度は減る傾向にあり
ますが、概念化能力は、次第に重要度を増してきます。下のレベ
ルの管理監督者には、専門的能力がかなり重要とされますが、こ
れは管理監督する職場内の実務担当者や作業員を訓練し育成する
ことが、しばしば必要となるからです。他方、企業幹部には、実
務のそれぞれの特定作業について、これらをいかに遂行するかを
知る必要はありません。だが、組織全体の目標の達成にたいして、
それらの業務がどのように相関しているかは、理解できなければ
いけません。
■ 対人的能力 ■
これらのマネジメントの各レベルにおいて、それぞれ必要とされ
る専門的能力、および概念化能力の程度は異なりますが、すべて
のレベルにおいて共通項的に重要な能力は、対人的能力です。対
人的能力を重んずることは、過去においても大切と考えられてき
ましたが、今日ではこれは最も重要な能力と考えられています。
たとえば、偉大な企業家の一人であるジョン・D・ロックフェラー
は「この世のいかなる能力にもまして、人とつき合う能力を高く
買う」といっています。ロックフェラーのこの言葉に賛成する人
は世界に多くいます。
アメリカ経営協会の報告によれば、ある調査に回答した200人の
マネジャーの大部分が、経営幹部に重要な能力を一つ挙げるとす
れば、それは人とうまくやっていく能力である、と同意しました。
この調査において、マネジャーたちは、対人的能力を知力、決断
力、知識、職務能力のどれにもまして決定的であると評価したの
です。
しかし、管理監督者には全く異なる視点からの力が必要です、そ
れは自分を律する力で、セルフマネジメント(3つの欲求のコン
トロール)力です。次回は以下の3つの力について説明いたしま
す。
(1)自尊欲求:部下より自分の方が仕事ができると思いたい/
思われたい。
(2)統制欲求:部下を自分の思うように動かしたい。
(3)好かれたい欲求:誰からも良く思われたい。