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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.330■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** ナラティブ内部監査34***
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ここまでナラティブ内部監査における5ステップのうち、内部監査員、
被監査者の共同作業の基盤作りに関するステップ3を述べてきました。
・第1ステップ : 今行っている内部監査をレビューする。
・第2ステップ : どのような内部監査を行いたいか、行うべきかを
組織内でコンセンサスを得る。
・第3ステップ : 内部監査員、被監査者の共同作業の基盤を作る。
・第4ステップ : 発見された問題(不適合、観察事項、気づき事項)
などを解決する。
・第5ステップ : 解決したことを水平展開、歯止めして改善する。
さらに、改善したことを革新へのインプットにする。
今週からは、「第4ステップ:発見された問題(不適合、観察事項、
気づき事項)などを解決する」についてお話ししていきます。
■ 問題とは何か ■
ナラティブ内部監査では「新しい物語」を作ろうと考えています。新
しい物語とは今までの内部監査では語って来なかった物語のことを意
味しています。監査員と被監査者が協力して組織のパフォーマンスを
上げるために新しい物語を作ることを目的にしています。それでは、
どのようにすれば新しい物語が作れるのでしょうか。この“どのように
すれば”を工夫するのが、このステップ4「発見された問題(不適合、
観察事項、気づき事項)などを解決する」です。
ここには“発見した問題など”とありますが、問題とは何でしょうか?
まず問題の正体をはっきりさせる必要がありそうですが、一旦従来の
内部監査における「不適合、観察事項、気づき事項など」の枠を外し
て、「問題」について考えてみたいと思います。
まず、考えてみたいのは「問題とは何か」です。私たちが内部監査で
“これはおかしい”と感じたことは、多分問題にぶつかったのではない
かと思います。この第一印象は大切にしたいと思います。
■ いろいろな問題 ■
私たち職場には多くの問題があります。問題だらけの世界の中にいる
と言っても過言ではないと思います。
・顧客から苦情を言われた。
・ローテイションに入っていた人が急に休んだ。
・サプライヤからモノが入ってこない。
・渋滞で時間通り荷物が来ない。
・機械の調子が悪い。
・防油堤から重油が漏れている。
・廊下の角で衝突した。
・売り上げが激少した。
・来年度の損益見込みがはっきりしない、 など。
問題の起きる領域は、マーケット、労務、調達、製造、環境、安全、
経営など現場から管理部門、経営者にいたるまで実にいろいろな職
域、すなわち全社にわたっていると言えます。領域がさまざまであ
るだけでなく問題の質もまたさまざまです。原因のはっきりしてい
るものがあると思えば、原因がはっきりしないものもあります。す
べての問題には対応すべきだと思われますが、処置の実施緩急度合
いがさまざまで、直ぐに手を打たなければならないもの、少し様子
を見ていても良いものなどいろいろです。さらに、人によっては、
本当にこれは問題なのか、と疑問を呈するものも混ざっていると言
っていいかもしれません。問題の定義によっては、これは問題では
ない、しかし課題ではあると言うかもしれません。
■ 問題を整理してみると ■
私たちは内部監査に限らず日々このような問題だらけの中で働いて
いるのですが、個人一人の視点から見るとそれほど多くの問題に直
面しているわけではないようです。
本当にそうでしょうか?
もしかすると問題の存在に気が付かないだけなのかもしれません。
ナラティブ内部監査では新しい物語を作ろうと考えています。新し
い物語とは今までの内部監査では見えてこなかった物語のことを意
味しています。監査員と被監査者が協力して組織のパフォーマンス
を上げるために新しい物語を作ることを目的にしています。それで
はどのようにすれば新しい物語が作れるのでしょうか。この“どのよ
うにすれば”を工夫することが、このステップ4「発見された問題
(不適合、観察事項、気づき事項)などを解決する」に課せられた
課題です。