品質経営を考える6 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.464 ■□■
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*** 品質経営を考える6 ***
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品質経営を考えると称して、これまで5回CG(コーポレートガ
バナンス)コードについて説明してきました。しかし、読者から、
このメルマガで説明のあったCGコードは、「品質経営に触れて
いないのではないか」という疑問が寄せられましたので、今回は
その疑問にお答えしたいと思います。

■■ CGコード第2章 ■■
CGコードの第1章に続き第2章の説明に入ります。CGコードの
第2章は「企業の社会責任」を扱っていますが。まさにこの章に
「品質経営」に関係することが出てきます。
「品質経営」とは、製品・サービスの品質を中核において経営を
行うという概念です。組織は製品・サービスを市場に提供し、顧
客に価値を与えて持続的に存在していけます。品質の悪い製品・
サービスは自ずから市場から排除され、そのような製品・サービ
スを提供し続けている組織は退陣を余儀なくされます。

【基本原則2】
上場会社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の創出
は、従業員、顧客、取引先、債権者、地域社会をはじめとする様
々なステークホルダーによるリソースの提供や貢献の結果である
ことを十分に認識し、これらのステークホルダーとの適切な協働
に努めるべきである。
取締役会・経営陣は、これらのステークホルダーの権利・立場
や健全な事業活動倫理を尊重する企業文化・風土の醸成に向けて
リーダーシップを発揮すべきである。

【原則2-1】(中長期的な企業価値向上の基礎となる経営理念の策定)
上場企業は、自らが担う社会的な責任についての考え方を踏まえ、
様々なステークホルダーへの価値創造に配慮した経営を行いつつ
中長期的な企業価値向上を図るべきであり、こうした活動の基礎
となる経営理念を策定すべきである。

【原則2-2】(会社の行動準則の策定・実践)
上場会社は、ステークホルダーとの適切な協働やその利益の尊
重・健全な事業活動倫理などについて、会社としての価値観を示
しその構成員が従うべき行動準則を定め、実践すべきである。取
締役会は、行動準則の策定・改訂の責務を担い、これが国内外の
事業活動の第一線にまで広く浸透し、遵守されるようにすべきで
ある。

【補充原則2-3-(1)】
取締役会は、気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊
重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引
先との公正・適正な取引、自然災害等への危機管理など、サステ
ナビリティを巡る課題への対応は、リスクの減少のみならず収益
機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、中長期的な企
業価値の向上の観点から、これらの課題に積極的・能動的に取り
組むよう検討を深めるべきである。

出典 日本取引所グループ
nlsgeu000005lne9.pdf (jpx.co.jp)

■■ CGコード第2章の解説 ■■
第2章は企業の「健全な事業活動倫理を尊重する企業文化・風土
の醸成に向けて」の活動について推奨事項を掲げています。

「価値創造に配慮した経営を行いつつ中長期的な企業価値向上を
図るべきであり、こうした活動の基礎となる経営理念を策定すべ
き」であるとして、「気候変動などの地球環境問題への配慮、人
権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、
取引先との公正・適正な取引、自然災害等への危機管理など、サ
ステナビリティを巡る課題への対応」を求めています。

ただ、品質経営の観点から見ると「品質」の2文字がありません。
「気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の
健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・
適正な取引、自然災害等への危機管理など、サステナビリティを
巡る課題への対応」の文中を次のように改訂することを提案して
いきたいと思います。

「気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の
健康・労働環境への配慮、『製品・サービスの質』や公正・適切な処
遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等への危機管理など、
サステナビリティを巡る課題への対応・・・」

(つづく)