ISO9001キーワード 2 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.467 ■□■
― ISOマネジメントシステムのテクノファ ―
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** ISO9001キーワード 2 ***
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ISO9001:2015規格に出てくるキーワードについて、世の中の広
い情報から抽出した広範な周辺知識をお伝えしています。ISO
審査員、内部監査員が職務をする時の周辺知識としてお読みいた
だければ幸いです。

■■  顧客満足  ■■
ISO9001:2015には次の要求事項があります。

5.1.2 顧客重視
トップマネジメントは,次の事項を確実にすることによって,顧
客重視に関するリーダーシップ及びコミットメントを実証しなけ
ればならない。
a) 顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を明確にし,
理解し,一貫してそれを満たしている。
b) 製品及びサービスの適合並びに顧客満足を向上させる能力に
影響を与え得る,リスク及び機会を決定し,取り組んでいる。
c) 顧客満足向上の重視が維持されている。

引用 JIS 品質マネジメントシステム-要求事項 JISQ9001:2015

■■  顧客満足は正しいのか?  ■■
「顧客満足は正しいのか?」とは何とも衝撃的な問いかけで、顧
客満足は当たり前の概念ではないかと思うのですが、皆さんはど
う思われますか?
ISO9001では「顧客満足」は自明の理であり、疑う余地がないこ
とを前提に「顧客重視」の要求事項を規定しています。確かに顧
客満足は正しいと思いますが、では次の問い掛けにはどう答えま
すか。
「顧客満足のためには顧客の言うことは何でも聞かなければなら
ないのか? 顧客自身が自分のニーズとして口に出して言ってい
ることが真意かどうかわからないときがある。建前とホンネとで
もいうのか,真意を読み取るのが難しいこともよくある。欲しい
ものを言ってくれるのはまだよいほうで,自分のニーズがわかっ
ていないのではないかと思われることがある。また,何か言って
いるのだが,何が欲しいかよくわからないこともある。」

この答えは7月29日に日本品質管理学会が主催する「TQM大誤
解」で私がお答えします。講演会に出席されて納得いくまで議論
に参加されたらどうでしょう。

■■ 品質管理は古い、これからは顧客価値創造だ ■■
品質管理が古いとはこれまた衝撃的な問いかけですが、本当にそ
うなのでしょうか。確かにここ10年位の間に「顧客価値創造」
が幅を利かせているようです。文字どおりに解釈すると,「顧客
価値を創り出す」ということですが,この「顧客価値」について,
JIS Q 9005:2023では,「製品・サービスを通して,顧客が認識
する価値」と定義されています。
これを少しわかりやすく説明すると,「顧客価値とは,提供され
た製品・サービスを消費,使用する際にお客様が感じる効用,メ
リット,有効性のこと」といえます。どんな企業でも,必ずこの
顧客価値を提供することによって事業が成立しています。高度経
済成長の時代は,消費者は「今まで手にしていなかった新たな機
能や効用」をもった良質廉価な工業製品を求め,そしてメーカー
はこれに応えるために,「不良やばらつきのない品質と合理的な
コスト」という顧客価値を提供すれば,事業は成功する時代でし
た。
ところがモノがあふれた成熟経済社会になると,ニーズの多様化,
高度化,複雑化が起きて,かつての顧客価値は通用せず,顧客層
や個客に合わせた価値を創り出していかなければ,成功しにくい
時代となったのです。だから,「うちの経営方針は顧客価値創造だ
よ」は,確かに,大変によい方針といえるでしょう。しかし、こ
れに対する反論も聞く価値があると思います。
どうぞ7月29日の「TQM大誤解」にお越しください。
(つづく)