ISO9001キーワード 人々16 (キャリア自律支援) | 平林良人の『つなげるツボ』

2024年12月25日
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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.490 ■□■
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*** ISO9001キーワード 人々16 (キャリア自律支援)***
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テクノファではISOマネジメントシステムに要求されている人々の活性化への
具体的な取り組みとして「キャリアコンサルタント養成講座」を20年開設して
きています。
人々のキャリアに関係する話題として、内閣官房から本年8月にJOB型人事の
指針として発表された日立製作所の部の要約その3です。
新しい資本主義実現本部/新しい資本主義実現会議|内閣官房ホームページ

■■ 3.雇用管理制度(2)キャリア自律支援  ■■
(社内・社外の副業制度)
 〇新たなキャリアへの挑戦を志向する社員に機会を提供する目的で、2023 年
  度からのトライアルという形で社内・社外の副業制度を導入した。
  (1) 社内副業制度
  ・現在の業務に従事しつつ、業務時間の20%以内で別の部門の業務を経験す
  ることができる制度。募集案件は社内ウェブサイトで公開されており、期間
  は1 か月~半年間程度(トライアル時の内容)。社員は上司の承認を得て、
  案件に応募することができる。
  ・例えば、支社の営業従事者が本社の営業部門での企画業務に従事するケー
  スなどがある。制度利用者の感想として、「視野や人脈が広がって良い経験
  になっている」という声や、「副業によって得た知識・スキルが、本業にも
  役に立っている」といった前向きな意見が寄せられている。本人のキャリア
  の選択肢が広がることも期待され、今後も正式導入に向け検討をすすめてい
  きたいと考えている。
  (2) 社外副業制度
  ・日立製作所との雇用契約を維持しつつ、業務委託契約等の形態として、社
  外での業務に従事することができる制度。報酬は、本人が業務委託先との間
  で決定する。職場の上司による認可制とし、機密情報管理、競業避止の観点
  等を踏まえ判断される。加えて、従業員の健康確保のため、週1 日(7~8
  時間)を目途に所定労働時間外で副業を認めることとしている。
  ・主な副業先は民間企業であり、副業先で得た経験やスキルを日立製作所で活
  かすことや、目指すキャリアに向けた経験・スキルを得ることが制度利用者
  の主な動機である。また、自身が持つ資格や経験を活用し、更なるスキルア
  ップを図るケースのほか、定年退職後のキャリアを見据えて活動している社
  員もいる。その他に、非営利団体に所属し、障がいをもつ方々への支援活動
  をするなど、社会や地域への貢献を目的として制度を利用する社員もいる。
  ・社外副業制度の導入により人材の流動化が高まる一方、日立製作所以外で
  の経験による成長促進や、自律的な働き方の実践を通じた発揮価値向上の機
  会を提供することが会社の成長にもつながると考えている。

(キャリアエージェントの設置)
 〇従業員のキャリア自律を支援するため、2023 年より、社員のキャリア相談
  や各職場と社員のニーズを合致させるマッチング支援を実施する部門を設け
  た。社内公募制度の拡充を受けて、社員からは、「自分のこれまでのキャリア
  や、強みを生かせるポジションで働きたい」、「職種転換のサポートを受けた
  い」といった要望が出きており、マッチング支援においては、それらの要望
  に応えることを目的としている。
 〇社内キャリアエージェント利用者の感想を調査したところ、90%以上はサ
  ービスに満足しているとの回答であり、キャリアの方向性や今後のアクショ
  ン、自身の強みの明確化につながっているといった好意的な意見が寄せられ
  ている。

(アップスキリング・リスキリング)
 〇国内グループ会社を含む約12 万の個別JD の整備を進めており、各ポジシ
  ョンに求められるスキルや経験を明確化している。これを元に、上司・部下
  のコミュニケーション通じて、一人一人の今後のキャリア計画を策定し、社
  員の新たなスキル獲得に向けたアクションにも活用している。
 〇スキル獲得に向けた会社からの支援として、2022 年度にLXP(Learning
  Experience Platform)という仕組みを導入。各自のキャリア志向に応じて
  自分のやりたい仕事を登録すると、AI が学習コンテンツを提案し、好きな時
  間に勉強できる。社員からは「学習コンテンツを推奨してくれるので、関連
  テーマや次に学ぶべき項目など分かる」、「世の中の動きをタイムリーに学べ
  る」等の声が寄せられているほか、情報共有やコミュニケーションを目的と
  したテーマごとの学習グループが約80 件立ち上がるなど、活用が広がって
  いる。知識のみではなく、実践的なロールプレイなどを交えてスキルの向上
  を目指す研修の実施方法をいう。

(つづく)